> トップページ > 伊万里市民図書館について > 広報 としょかん通信 > 平成12年4月号
・「数年前の記憶です。…」 ・新たなる旅立ち ・人間国宝今泉今右衛門講演会 「やきものと私 心」 ・本のリストができました ・黒川公民館図書室がオープン ・寄贈 ありがとうございました |
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★ 1面 |
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数年前の記憶です。三重県で草食の恐竜「マメンキサウルス」の化石が見つかったという新聞記事を読みました。その化石は首の骨の部分で70センチほどの大きさでした。「マメンキサウルス」体長が24,5メートルもある大型の恐竜で、たった70センチの骨の破片からその全体像が分かることに驚きました。 この恐竜がさかえたのは、1億3500万年も前のことですから、気の遠くなるような検証の積み重ねが行われたに違いありません。 さて、わたしたちの図書館活動もこれに似た仕事ではないでしょうか。「図書館活動の全体像はほんの小さなヒントから生まれる」ということです。ベテラン司書でも始めから問題のすべてが見えているわけではありません。利用者の皆さんへのサービスを、どうすればもっと向上させることができるか。どんな資料を揃えれば図書館の蔵書構築が完璧に近づくのか。レファレンスの技能をもっと高める方法はないのかなど、考えていくうちに司書としてふと思いついたことがあとあと重要なポイントとなるのです。ヒントが浮かんだらしばらくそれを大事にあたためる。次にそれを補足するための別のヒントを集める。そしてヒントどうしを組み合わせて、だんだんと本物の全体像に近づける。そういう一連のプロセスが大切です。 恐竜の小さな化石の破片でも、大きな恐竜の全身を再現できるように、図書館活動の小さなヒントがついには図書館全体を動かし、レベルアップのきっかけになる、そういうことが図書館を成長させます。 4月、森羅万象の息吹の中で、図書館も元気よくスタートします。 ▼戻る |
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★ 2面 |
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新たなる旅立ち 伊万里市民が新しい図書館をもつようになって、今年で5年目を迎えます。この節目の年に館長職に就くことになりました。微力ではありますが市民の図書館を目指して歩を進めたいと思っています。よろしくご指導ください。 ところで図書館計画施設研究所の菅原峻さんは「伊万里市民図書館設置条例は民主的つまり市民が主人公である図書館をつくり、発展させていくことを宣言している画期的な条例だ」と高く評価しています。館長就任に当たり、この設置条例が宣言している意味を原点に返って考えてみたいと思います。 【設置条例第1条】 「伊万里市は、すべての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため、自由で公平な資料と情報を提供する生涯学習の拠点として、伊万里市民図書館を設置する」 地方の時代といわれて久しいのですが、市民参加の掛け声だけ華々しくても、中央と地方、行政と市民の間に情報の格差があっては、絵に描いた餅に等しくなります。 時の人、三重県の北川知事は年頭の挨拶で述べています。「情報革命によって誰もが自由に情報を使えるようになれば国と県、官と民の関係も縦の支配ではなく横のパートナーシップになる。地方自治体こそが生活者起点でものごとを考える総合行政に変わらなければならない。」 ところが現実に目を向けると、必ずしも市民の間には溢れる情報を手にする環境や手段が整っているとは言いがたい状況があります。 古今東西の膨大な資料は一個人で萬集することは不可能です。図書館では2千年以上も前から、文字による記録という形で人間精神の偉大な産物が収集され、保管され、利用され、そして次代のために役立てられました。 伊万里市民図書館は市民が共有する『知の宝庫』です。現在資料は20万点。開館当初、時代を読み、全国に先駆けて画期的な条例をつくった図書館の大先輩からは「知の宝庫に応しい本を収集せよ。宝の山を学問や生活に役立てる方法を常に考えよ」と忠告してもらっています。 本ばかりではなく、これからは多様なネットワークが瞬時に出来上がる環境も整いつつあります。伊万里市民図書館でも本年度はインターネット検索が可能になります。活字情報にしろ、ネット情報にしろ重要なことは情報弱者をつくらない施策が大切ですが、これからは図書館の上手な使い方講座を開いたり、多種多様なパンフレットを用意し対応していくつもりです。 市民1人1人が図書館を有効に活用し、保管している人類の知恵を如何に賢く使っていけるか、新たな時代によりよく生きる知恵を生み出していけるか、そこにこそ21世紀の社会を占う鍵があり、図書館の存在する意義もあるような気がします。 そのためには楽しみだけの読書ではない、つまり、市民の学習や研究を支え、子ども達の未来を支える図書館を目指したいと思っています。 3月21日付け朝日新聞紙上座談会で読者の1人は発言しています。 「自前で人材やアイディア、政策などを調達できるかどうかに地方のパワーメントは係っている。自治体は住民をパートナーと位置づけ住民参加の制度を充実させるべきである。市民の力の増強のためには生涯学習を通してまちを元気にさせる力を1人1人の市民が身につけることだ。」これはまさに伊万里市民図書館の設置条例そのものです。 爽やかで、品格があって、なおかつ活き活きとした働きをしている、そんな図書館をパートナーである市民のみなさんと共に目指していきたいと思います。 (犬塚まゆみ)
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★ 3面 |
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人間国宝今泉今右衛門講演会 「やきものと私 心」 市民図書館では毎年、著名人を招聘して文化講演会を催している。 今年は、3月26日(日)人間国宝の今泉今右衛門さんを講師に迎えた。前日まで上京中というご多忙な中を市民図書館のために時間を割いてくださった。 講演は「やきものとわたし 心」という題で長年の磁器色絵への思いを語られ、味わい深い学習の場にしていただいた。 内容は、陶芸の本質に迫るもので、アマチュアとプロの違いを明確にされた。アマチュアはあくまでも素直にいろいろと変な欲を出さないことが大切。作意が表面に出ると、そのやきものは下品になってしまう。プロは、技術を磨くこと、品格を保つこと、そして、人間性が豊かであること、の3つの要素が大切だ、と言われた。この3つの要素はバラバラにあるもので、しかも年齢とともに深みを増すものである、とも話された。 講演の後半はスライドでの説明があり、古伊万里様式と鍋島様式の特色を対比的に説明され、その違いを明確に教えていただいた。本人が所持されている古いやきものを紹介しながら、それに対して古伊万里文様の活達さ、奔放さ、鍋島文様の幾何学的で格調の高さなど、具体的で実に分かりやすかった。 今右衛門さんが苦心して発案され、創作された「吹墨」「薄墨」の技法の秘話なども紹介され、聴衆はやきものの講義を満喫した。 惜しむらくは、聴衆が30名あまりで、せっかくの貴重なご講演を広く多くの皆さんに聞いていただくことができなかった。これは、私どものPRの仕方が若干の力不足であったことを思い知らされた。反省点である。 ▼戻る |
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★ 4面(1) |
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本のリストができました 「子ども時代に、ぜひ読んで欲しい本」を集めた本のリスト。半年以上もの長い作成期間を経て、3種類が完成しました。このリストは、市内の全小・中学生に間もなく配布の予定です。お楽しみに。 ★幼児~小学校低学年向け
★小学校高学年向け
★中学生・高校生向け 中学生や高校生のみなさんに、とっておきのオススメBOOK LISTができました。世界の名作や日本の古典もいいけれど、10代の今だから読んでほしい本がたくさん揃っています。メッセージボードでおなじみの中高生のみなさんのイラストも、豊富に掲載しています。 このリストで、ぜひみなさんにたくさんの本に出会って欲しいと思います。そして、心の支えになる本を見つけてください。 ▼戻る |
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★ 4面(2) |
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黒川公民館図書室がオープン 4月3日、黒川公民館の図書室がオープンしました。 当日は、黒川町親と子の読書会の主催で、ミニコンサートや様々なイベントがあり、「おはなしキャラバン」によるおはなし会も行われました。また、図書館フレンズいまりの皆さんの手でぜんざいがふるまわれ、図書室のオープンをお祝いしました。 図書室には、一般書、児童書あわせて約3千冊の本が準備されています。図書室にない本でも、予約やリクエストをすることができます。貸出しには図書館の利用カードが必要です。まだ、利用カードをお持ちでない方は、公民館でも作ることができます。なお、開室時間は、公民館の開館時間と同じです。 ぜひ、図書室へ足を運んでみられてはいかがでしょうか。 ▼戻る |
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★ 4面(3) | ||||
寄贈 ありがとうございました 持長隼史 牧瀬純子 山口勝利 山口吉彦 金崎洋典 浜田佐知子 立石和江 吉田美千代 松尾ユカリ 原田かおり 脇山まなみ 藻谷淳子 松尾勝郎 ▼戻る |