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平成12年8月号
・明治の作家で、図書館によく通った人に樋口一葉が...
・みんなの力を結集 盛会にほしまつりを開く
・黒澤学 vol.2  黒澤明とベートーヴェン
・図書館でのひととき
・[寄贈]ありがとうございました
・蔵書点検のため休館します

★1面

 明治の作家で、図書館によく通った人に樋口一葉がいます。
希代の日記作家であった一葉の日記から、そんなある日の図書館での光景を垣間見ると――
  「希望した本を借り出して読み耽っているうちに、長い夏の一日も、はや夕暮れになる。 上野の森にひぐらしの声が高く聞こえ、寛永寺の夕べの鐘がかすかに響き、 窓から射しこむ夕日も少し弱くなってきた。注意を受けて部屋を出てみると、 おおかたの人は帰ってしまっていた。本を返して門を出ると、 鴉がむらがってねぐらに帰る姿も見えてきた。」(明治24年8月8日の日記より)
 この時、一葉20歳。読書に時の経つのを忘れてしまい、夕暮れの中、読書の喜びを懐きながら、 帰路を急ぐ若き一葉の姿が思い浮かべられます。
 それから100年後にタイムトリップして、一葉がこの伊万里の市民図書館に現れたとしましょう。 いかにも官立然とした上野の図書館の静けさから、子どもたちの声で賑わいをみせる8月の 市民図書館のあり様に面食らうのでしょうか? それとも、地方にこんな立派な図書館(今年、公共建築賞を受賞しました)があり、 大勢の人達が集まっていることに賛嘆を覚えるでしょうか?
 ゴーストの一葉が、静かな北の庭に面した机に向かったとします。そして、発見したものは、 歳月を経ても変わることのない、読書の魅力に取りつかれたもう1人の一葉だったかもしれません。
 出てこい、平成の一葉さん!

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★2面
[みんなの力を結集 盛会にほしまつりを開く]

 2000年は、伊万里市民図書館が開館してから、5周年目にあたります。 7月7・8・9の3日間、今年も盛大に『図書館☆まつり』を開催しました。 テーマは、《図書館は21世紀へのおくりもの》で、24団体に参加していただきました。

 7日の金曜日、7時から前夜祭がはじまりました。【伊万里吹奏楽団】による野外コンサートです。 まずは♪ハッピーバースディ♪が演奏されました。夕闇がせまる図書館の南の庭が、 コンサートホールになりました。
 次は子どもコーナーで、高校生の牟田あずみさんによるピアノ演奏。そして【伊万里合唱団】のコーラス。 素敵な歌声が、図書館中に響きわたります。

 8日土曜日、伊万里中学校ブラスバンド部の演奏で、☆まつりの幕は開きました。 これは毎年恒例となり、たくさんの方が聴きに来ています。
 次は【伊万里少年少女合唱団】のコーラスです。今回初めて、☆まつりに参加していただきました。 また【コールいまり】の童謡と唱歌もあり一緒に口ずさむ方もいらしゃいました。
 そして、毎年ちびっこに大人気、大坪郵便局員による昔なつかしい【自転車紙芝居】です。 ホールでは【おはなしキャラバン】によるおはなし会もありました。

 9日日曜日は、啓成中学校のブラスバンド演奏で始まりました。 子どもコーナーでは【器楽星】によるピアノとバイオリンの二重奏です。
 午後からはホールで【エメラルドグリーン】と【プリティ・ボーイズ】のしぶ~い、バンド演奏。
 イスの木の下では【伊万里子ども劇場】のブラブラ人形作り。 ペットボトルを使って、楽しい人形が出来ていました。
 おはなしの部屋では【草ひばり】のちいさなおはなし会がありました。

 7・8日の2日間を通じての催しも多数ありました。
 【国際ソロプチミスト】による、チャリティーお茶席は、大盛況でした。 また【てんとう虫の家】や【日本レミコ押し花学院】そして【伊万里華道連盟】もすっかり ☆まつりの顔となっています。

 また【伊万里養護学校】などによる、野菜やクッキー、小物の販売も好評でした。
 そして今年初めて行われた【図書館フレンズいまり】による、市民俳句まつり。 図書館をテーマに広く応募がありました。名句や迷句?が多数あり、審査もかなり難航したようです。 図書館フレンズ賞に輝いたのは、伊万里小6年、藤田啓三君の作品です。

   本読めば セミの鳴き声 遠ざかる

 また、最優秀賞には、伊万里小5年、吉田翔君の

   せみのこえ どくしょのときは いいひびき

 大川内町の黒髪和代さんの

   書の中に 居れば安堵の 梅雨籠

 の2作品が選ばれました。

 今年も大盛況で、無事に☆まつりが終わりました。 これも、図書館を支えて下さるみなさんのご協力のお陰です。 来年も、市民のみなさんと知恵を出し合い、楽しい☆まつりにしたいですね。

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★3面(1)
[黒澤学 vol.2  黒澤明とベートーヴェン]

 文豪ゲーテはベートーヴェンの音楽を聴いて、こう言ったそうです。
 ――「これからの音楽家は全集を書くだろう」と。
 ゲーテがベートーヴェンに見たものは、音楽家がそれまでの主人であった教会や貴族の従属から開放され、 音楽家自身が主人公となる時代の到来だったといえます。
 音楽が有用性からではなく、音楽家の人生経験や想像力から作品が生まれ、 個性や芸術性から論ぜられる新しい時代を、ゲーテはいち早く予見したのです。
 事実、ベートーヴェンに続くロマン派の音楽は個性の時代で、 音楽家が自分の独自性をさまざまな形で主張することになります。
 このように音楽は歴史も古く、芸術としての位置付けも、ゲーテの時代に遡れますが、 20世紀に生まれた新しい文化である映画の芸術性となると、どうでしょうか?
 映画は元々大衆娯楽や見世物から出発し、その後急速に発展を遂げるのですが、 大衆的な出自から、芸術としての評価を受けるのにしばらく時間がかかりました。
 その間、数多くの作品が生み出されましたが、その多くは消え去りました。 ヒット作を世に送り出す監督もいましたが、その全作品を観て、研究の対象となる映画監督は、 世界にそんなにいません。
 黒澤監督はその数少ない1人にあたります。
 デビュー作「姿三四郎」の凛々しさ、「羅生門」の懐疑と救済、「七人の侍」のヒューマニズム、 「用心棒」の抜群の面白さ、「影武者」や「乱」での絶望、それに続く晩年の作品では、 信頼をもう一度取り戻し、熱いメッセージを後世の人々に送っています。
 それは、初期の作品では、戦後の荒廃の中で生きんとして戦う日本人の群像を、 繁栄の時にあっては、ヒーロー三船敏郎の大活躍で日本の躍進を、映画産業の衰退期には、 仲代達矢で挫折と苦悩を体現させ、その作品を観ることで、自身とその時代の相関関係を うかがい知ることが出来ます。
 そういう意味で、黒澤明は戦後の日本の時代と共に歩んだ映画作家といえます。
 黒澤明は、個々の作品を越えて、全作品が問題である、ゲーテの言う「全集」を書いた映画作家なのです。

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★3面(2)
[図書館でのひととき]

 図書館に市民の方からお便りが届きましたのでご紹介します。

 毎日暑い日が続きます。
 フォトコンテストの写真、タイトル“ひととき”お送りいただきありがとうございました。 よい記念になります。早速アルバムに加えました。 私の知人から市民センターで私の写真“ひととき”が展示してあるとの連絡があり、 すぐに妻と見にいきました。よく写っておりました。写していただいた事はまったく気づきませんでした。 残念ながら、頭が写真ではこんなに白く写るんですね。私も81歳ですから仕方のない事ですが…。
 私は子供の時から歴史ものが好きで、図書館にはよく通っております。 昔のお城の関係図書はあらかた見させてもらいました。図書館に行けば、 何とはなしに心が落ち着いて本の頁をめくる時、幸福を感じます。 また、上映会も楽しみに毎回行っております。
 すばらしい図書館の運営にはいろいろと大変だろうと思いますが、たくさんのファンのために 尚一層頑張っていただきたいと願っております。
(東山代町・柳澤金助)

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★4面(1)
[寄贈]ありがとうございました

(敬称略)

山田誠
諸岡均
小松淳子
池田鈴子
前田義春
藤村昌邦
小柳榮次郎
鹿島市教育委員会
湯布院観光総合事務所
石狩市民図書館
佐賀県立九州陶磁文化館

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★4面(2)
[蔵書点検のため休館します]

 図書館の資料は、市民のみなさんの共有財産です。 その資料が確実に保有されていて、いつでも利用できるように、 年に1回総点検をすること―それが蔵書の所在確認作業つまり「蔵書点検」です。

 今年も9月18日(月)から29日(金)まで蔵書点検を行います。 この間、図書館は休館となり、利用者のみなさんには大変ご迷惑をおかけしますが、 何卒ご了承下さい。なお、この期間中の図書の返却はブックポストをご利用下さい。
 また、あなたのまわりに、つい返すのを忘れている本がないか、蔵書点検を前に、 もう一度家の中を見廻してください。

 市民の共有財産が、平等に活用されるため、みなさんのご協力をお願いします。

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