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平成12年10月号
・石牟礼道子さんの文化講演会を開催いたしました。...
・水俣に生きて 石牟礼道子さん文化講演会
・ホームページ開設
・黒澤学 vol.4 黒澤明と「七人の侍」
・私たちの図書館 図書館フレンズいまり
・子ども読書推進ネットワーク事業 講演会のお知らせ
・[寄贈]ありがとうございました。

★1面

 去る9月16日(土)、図書館ホールで作家の石牟礼道子さんの文化講演会を開催しました。
 石牟礼さんといえば、水俣と水俣病の悲劇を綴った作品『苦海浄土~わが水俣病』が有名で、 そうした患者さんたちとの係わりから、生きることに対する優しい気持ちが伝わる内容のお話でした。
 そして、人の温もりを感じさせるこの市民図書館を大層褒められ、ご自身の著書が 多く蔵書されていることに対し「自分の作品は内容も暗く、面白くないし、難しいので、敬遠されるのに」と、 感謝の意を述べられました。
 「私は、水俣病について、さあ書くぞと決心して書いた訳ではありません。いつの間にか書いていた。 文体の中で患者さんと私の交流を試みながら、そこからでてきた『言霊(ことだま)』で 書いたような気がします」とおっしゃいます。
 水俣病に侵された人は、四肢麻痺や言語障害に陥り、目や耳などの機能も失われます。
 従って、自分の気持ちを的確に伝えることなど叶わぬ相談で、こうした患者さんの言葉にならない言葉から、 その人達の気持ちになり代わって綴ったところに、『苦海浄土~わが水俣病』の掛け替えのなさがあります。
 石牟礼さんは、かつて結核を患い、最近では心臓疾患まで加わり、片目もほとんど見えないという状況で、 極めて限られた日常生活を送っておられます。
 そんな人が講演会に来て、それこそ数時間の滞在で帰られる。にもかかわらず、 この図書館を素晴らしいとおっしゃる。
 『言霊』で小説をお書きになったような人ですから、目はよく見えずとも『心眼』で この伊万里市民図書館を見られての感想なのでしょう。 石牟礼さんの誠実な人柄と作品から、この言葉を単なる外交辞令とは思えず、書き記した次第です。

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★2面(1)
水俣に生きて 石牟礼道子さん文化講演会

 「苦海浄土」や「アニマの鳥」などで有名な、熊本在住の作家・石牟礼道子さんをお招きし、 文化講演会を開催しました。伊万里学ゼミナールの公開講座でもあり、受講生のほか、 市内外からおよそ100名ほどの参加がありました。
 演題は《水俣に生きて》。 石牟礼さんは、水俣病をテーマにされた著書が多く、またご自分も水俣病被害民とともに 活動をなされています。
 昭和48年には、フィリピンの『マグサイサイ賞』、 平成5年には、「十六夜橋」で『紫式部賞』を受賞されています。
 講演では“魂”について触れられ、人間の生きている実質というものは、 とても濃厚なものだ、と話されました。 人間は“魂”だけで生きている。 道を踏み外しそうな時、“魂”という基準がそのためにあるのだと言われました。
 また、自分が生きているということは、命や魂が賑わっているということ。 その、人間が生きたという物語を、次の世代にいかにして伝えていくべきかが 課題だと話されました。
 そして、近代の日本には、「慎ましい」「風情のある」という姿は消えてしまっていると 嘆かれていましたが、石牟礼さんの優しい口調や、穏やかな物腰にハッとさせられた方も 多かったのではないでしょうか。
 なおこの講演会は、伊万里ケーブルテレビで来月より放送予定となっています。 どうぞ、お楽しみに。詳しくは、11月のケーブルテレビの番組表をご覧ください。

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★2面(2)
ホームページ開設

 地域インターネット導入事業の一環としまして、 10月3日より、新しく「伊万里市民図書館のホームページ」を開設しました。
 インターネットが使える環境をお持ちの方はご自宅や仕事場から、ホームページを見ることができます。 また、お持ちでない方でも、各町の出張所に端末を設置していますので、 それを使って見ることができるようになっています。(料金は無料です)
 これまで、図書館に足を運ぶことの出来なかった方でも、インターネットを使って図書館にある本を探したり、 自動車図書館「ぶっくん」の時間を調べたり、催し物のお知らせなどを見ることができます。
 ただし、現在は試行期間のため、一部のサービスはご利用いただけませんが、 平成13年4月からは、借りている資料の確認や予約などのサービスも、 インターネットでご利用いただけるようになります。
 伊万里市民図書館ホームページのアドレスはこちらです。
  http://www.imarilib.hachigamenet.gr.jp/
 (現在のurlはhttp://www.library.city.imari.saga.jp/です)
 みなさまのアクセスをお待ちしています。

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★3面(1)
[黒澤学 vol.4  黒澤明と「七人の侍」]

 芸術家には必ず代表作と呼ばれるものがあります。
 黒澤の代表作となると「七人の侍」ということになるでしょう。
 「七人の侍」の何がすごいかといえば、全部と言いたいところですが、 それでは答えにならないので、少し内容に触れてみたいと思います。
 まず、全体を貫く単純明快さです。 ストーリーは、侍が野武士から百姓と村を守る話、といたって簡単です。 映画にとって、ストーリーが一言でいえるということは、非常に大切なことで、 何が言いたいのか判らないといった映画になることがありません。
 そして、そこにひとひねりが加えてあります。 先に、侍が野武士から百姓と村を守る話と言いましたが、では、どうやって 百姓は侍を雇えたのでしょうか?そして、どんな方法で野武士を撃退したのでしょうか?
 時代は戦国時代、戦国武将の興隆と没落から、多くの侍が巷に溢れ、 新たな仕官先を探して、まちを歩いていたと思われますが、百姓が侍を雇うとなると、話は別です。
 野武士に毎年収穫を襲われるような村ですので、当然裕福な村ではありません。 その寒村の百姓が侍を雇うのです。金にも名誉にもならない、こんな割に合わない事を 請け合う侍とは?考えれば考えるほど疑問が出てきそうですが、黒澤はそれを、 絵空事ではなく、あたかも戦国時代に本当にあった出来事のように描いています。
 それは、治安が乱れた戦国時代の日本の津々浦々であったであろう、 生きんがための戦いを映像化し、ここにこんなにも素晴らしい日本人がいたことを、 現代を生きる私たちに語りかけているような気がします。

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★3面(2)
[私たちの図書館 図書館フレンズいまり]

 9月30日(土)図書館フレンズいまり平成12年度総会と記念講演会を開催しました。
 講演会の講師は、中央公民館にあった古い図書館最後の館長さんである森田一雄さん。 伊万里市民図書館に《筋の通った主張》を吹き込んでくれた方と言っても過言ではありません。 演題は『序章・私たちの図書館』。 古代シュメール人から現代の北欧、夏目漱石・・・とたくさんの素材を用いつつ、 それでいて聞く者の心に小川の流れのような心地よい余韻を残してくださいました。
 特に強調されたのは、市民図書館ができるまでの《行政と市民との協働》の姿であり、 「人と時と運のジャストミートで生まれた」図書館が、市民の図書館であり続けるためには、 今後とも市民の知恵と力が不可欠だということでした。 私たちの図書館ではいろいろなボランティアが生き生きと活動し、 子どもからお年寄りまでがそれぞれの楽しみ方を発見しています。
 また森田さんは、図書館のキャッチフレーズ「伊万里をつくり、市民と共に育つ、市民の図書館」や、 図書館入口に掲げてある『伊万里市民図書館設置条例』の起草者でもあります。
 今や全国的に有名になったこの一条を、いまいちど深く考えてみましょう! 武雄や川副からも聴講客がありました。
 引き続き、図書館フレンズいまりの第5回総会を開きました。 フレンズでは、古本バザーや伊万里和紙の手作りブックカバーなどグッズの販売による益金で、 図書館ボランティアグループへの助成をしています。 図書館への《協力と提言》が旗印です。 図書館を愛する皆さんのご参加をお待ちしています。(井手淑子)

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★4面(1)
[子ども読書推進ネットワーク事業 講演会のお知らせ]

 2000年の「子ども読書年」にあたり、市民図書館では現在、 『伊万里子ども読書推進ネットワーク開発事業』に取り組んでいます。
 第3回目の講演会は、11月12日(日)。 講師にすずらん文庫主宰の渡辺順子さんをお迎えします。
 午前10時からは、布の絵本についての研修と意見交換会。
 午後1時30分からは《子どもの読書・親たちの役割》という演題で講演会があります。 会場は図書館ホールです。
 多数のご参加をお待ちしております。

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★4面(2)
[寄贈]ありがとうございました

(敬称略)

深川法秀
山本陽一郎
木村禎助
吉田章子
西岡成美
岩尾貴子
脇山まなみ
二羽史裕
九州農政局企画調整室長
塩田町教育委員会
佐賀県議会事務局長

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