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平成13年2月号
・戦後日本の復興に、多大の貢献をなした宰相吉田茂の政策を要約すると...
・ミツルくんにであったよ!
 ~伊万里子ども読書推進ネットワーク開発事業~

・【黒澤学 vol.8 黒澤明と黒澤プロ】
・新世紀を迎えての集い 2001年1月21日
・三宅興子さんとイギリス児童文学へタイムトラベル
・寄贈 ありがとうございました
・めばえの日をぜんざいで祝おう

★1面

 戦後日本の復興に、多大の貢献をなした宰相吉田茂の政策を要約すると ──「自らを直接的軍事ゲームの外に置き、一切の努力を経済拡大に集中させるために、 日本の戦略的重要性を米国との同盟関係から最大の利益を引き出す」ことになろうか。

 しかし、こうした冷戦構造における日本の漁夫の利は、1989年のベルリンの壁の崩壊に続く、 冷戦の終結をもって終焉を迎えるのだが、経済的繁栄を謳歌していた当時の日本には、 こうした歴史的世界情勢の大変動にどう対処すべきかを知るべくもなく、 間もなくバブルの崩壊に遭遇し、その後90年代を通じて長い低迷を続けることとなる。
 以上が私たちの時代状況のごく簡単な素描だが、一方眼を地方に転じると、 高齢化と少子化のため、過疎化が一段と進行し、町としての活力を失いつつある地方都市の姿が見えてくる。

 こうした中で、伊万里市でも図書館を町おこしの大きな柱として、 この市民図書館が建設されたのが95年。それから6年が経過した。
 この間、日本経済はバブルの後遺症に苦しみ、いまだ出口の見えない状況にあり、 当然地方都市も厳しい財政状況下にある。
 降り止まない雨がないように、この冬の時代がいつまでも続くとは思わないけれども、 日本が国家として、元気と自信を取り戻した日に、新しい豊かさがこの伊万里市で実現されているよう、 市民図書館も大いに寄与したいと思う。
 そしてそれは、建館の志を忘れずに、頑張ることだと思う。

 「伊万里市は、すべての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため、 自由で公平な資料と情報を提供する生涯学習の拠点として、伊万里市民図書館を設置する。」 (伊万里市民図書館設置条例第一条)

 21世紀を迎えて、気持ちを新たにしたところである。

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★2面(1)
ミツルくんにであったよ!
 ~伊万里子ども読書推進ネットワーク開発事業~


 2月3日、図書館ホール。みんなを待っていたのはミツルくん。 「トラや帽子店」で全国を駆け巡っている、あそびや体操のお兄さんです。 ホールに入ってくる子ども達1人1人にあいさつをする。 ここからミツルくんの子どもとの時間が始まります。 ミツルくんの体操や歌あそびはとても簡単な動きです。 曲の1番~3番まで全て同じ振り。 この単純な動きにはミツルくんのたくさんの思いが込もっています。 単純だからこそ子どもから大人まですぐにおぼえて楽しめる。 おもいっきり楽しんで動いて…そして忘れてもいい。 そこからみんなの体操やあそびが始まるのです。 初めて出逢ったはずなのに、すぐにミツルくんの周りにはたくさんの笑顔の子どもたち。 オイモになったり、お魚やカマキリになったり、楽しい時間はあっという間に過ぎました。 ことばを音にのせて、動きにのせて、いつものリズムも楽しくなれるよ… そんなヒントをたくさんもらえた感じです。 子どもたちに逢いたいから…というミツルくんの熱い思いとともに、 参加されたみなさんとおもいっきり動いて笑って楽しい時を過ごしました。

 高校の頃から子ども会のリーダーとして活躍、平山ラーメンさんに師事のミツルくん。 今日もどこかで子どもたちの笑顔の中にいることでしょう。 最初、見学していたお父さんお母さんがいつの間にか子どもと一緒に体操したり、あそんだり…。 手を握ることから始まる人と人とのつながり…そんな思いとともにたくさんの出逢いを感じた公演でした。

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★2面(2)
【黒澤学 vol.8 黒澤明と黒澤プロ】

 昭和34年、黒澤プロが設立される。
 設立の経過は、以下のとおり── 「前年公開された『隠し砦の三悪人』の製作が、費用、期間とも大幅に予定をオーバーしたため、 東宝はこの調子で黒澤に自由に映画を撮らせたら、とんでもないことになることを危惧する。
 今まで公開された黒澤映画はヒットして、莫大な製作費を回収して、 なおお釣りが出る位だったからいいようなものも、そんなに都合のいいことがいつまでも続くはずはない。
 そこで、黒澤監督本人にプロダクションを作らせ、責任を折半する形で、 会社との共同製作にすれば、完璧主義のもたらす際限なき製作費にブレーキがかかるのではないかと、 考えたのである。」
 そんな会社の目論見に肩透かしを食らわすかのように、黒澤プロの第1回作品がとても大入り満員を 見込めそうもない、汚職をテーマとした社会派の「悪い奴ほどよく眠る」だった。
 黒澤はその製作動機を、「プロダクションが出来たら、早速カネもうけのための写真を作った などといわれるのがシャクで、一番難しいものに取り組んでやろうと思った。」と述べている。
 映画は案の定、興行的に失敗で、黒澤映画で一番の不入りだった原水爆をテーマとした 「生きものの記録」よりもひどかったらしい。
 こうした製作動機と作品を観るにつけ、結果を恐れず、最高の映画作りに挑む黒澤監督の反骨と信念に、 保身と日々の生活に汲々としている私としては、羨望の気持ちを禁じ得ないのである。

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★3面
新世紀を迎えての集い 2001年1月21日

 幕開けはときわ会のお琴。 華やかな演奏はホールいっぱいに春を呼び込んでくれました。 次に、対面朗読・草ひばりの田内法子さんが、宇野千代作のエッセイをしっとりと朗読、 そのあとは大連、イギリス、ブラジルからの研修生、留学生のトークショウがあり、 世界を身近に感じました。

 後半は、おはなしキャラバン、布絵本などボランティアグループの活動の紹介や、 いすの木合唱団のコーラス、吉富菊雄さんのバイオリン演奏へと盛り上がりました。 おいしいケーキやハーブティーにも人気が集中し、楽しい集いでした。 でも、初めての試みとはいえ、なんといっても勿体ない、惜しい! たくさんの方に来てほしい、輪を拡げたいと考えさせられた午後のひとときでした。
(図書館フレンズいまり 中村悠美子)

 石垣りんさん    高森 保/作
石垣りんさんが伊万里に来ると言う
りんさんは東京で著名の詩人80歳 ぞくぞくと詩集と出していられて
今、注目されていると言う
会いに行った。会いにと言うより話を聞きに
80歳でぞくぞくと詩集を出されるエネルギーの素は何だろう
好奇心が頭をもたげた

石垣りんさんは背筋をぴんと伸ばして
帽子被って笑顔で来た
白い歯が揃っていた
ハチマルニマルの保健所推奨通りだが
それで詩が書ける訳ではない
石垣りんの秘密は…と聴いていたが
りんさんの顔が親しくしてくださっていた
もう亡くなられている吉町節さんの顔になった
女教師の身分を守るために奔走されていたあの顔
女性が強くならなければ平和は守れないと語っていた顔

詩をなぜ書くのか
「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」
「それはながい間/私たち女のまえに/いつも置かれてあったもの」
「それはたゆみないいつくしみ/無意識なまでに日常化した奉仕の姿」
「そのために知識や、世間での地位が/たちおくれたとしても/おそくはない」
「お芋や、肉を料理するように/深い思いをこめて/政治や経済や文学も勉強しよう」
「それはおごりや栄達のためでなく/全部が/人間のために供せられるように…」
「…愛情の対象あって励むように。」

揺らぎようのない生活に 知的な母性愛がたちこめている
毎日の生活にはぐちることだってあるだろうが
ぐちで終わらず 骨太の詩をつむぐ りんさん

3度3度の食事の支度から女性が解放されて
女性の地位が高くなるのだろうか
グルメばやりで、ファミリーレストランにコンビニストアの繁盛
買いこんだごみに埋まる自宅のキッチン
若い母親や父親の暮らし向きに目くじら立ててもようがないが
せめて石垣りんさんの詩ぐらいは読んでほしいなあ。
3度3度の食事を正確につくり、よく噛んで食べる
何のふしぎでもない生活が80年続いているりんさんの元気
りんさんの確固とした生き方 りんさんの詩
それをつかまえないとずるずると屈従を強いられた戦前に戻ってしまう

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★4面(1)
三宅興子さんとイギリス児童文学へタイムトラベル

 ★連続講演会★
 2月25日(日)14:00~
 演題「世界中で読まれているシンデレラはどのようにして絵本になったか」
 2月26日(月)10:30~
 イギリス児童文学について、たくさんお話をしていただきます。

 場所は2日間とも、市民図書館ホール
 主催:伊万里子ども読書推進ネットワーク開発事業実行委員会
 詳しくは、市民図書館 電話23-4646まで。

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★4面(2)
寄贈 ありがとうございました

  (敬称略)
 吉原重臣
 力武加奈恵
 児玉恵子
 姥敏徳
 久保田優子
 立石睦夫
 木村禎助
 金崎洋典
 金子由美
 近藤順子
 大川内町誌編纂委員会
 佐賀県環境政策局長
 名村造船所

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★4面(3)
めばえの日をぜんざいで祝おう

 今から7年前の2月26日は、図書館の起工式が取りおこなわれた日です。 神事のあと、市民200人が集い、敷地を歩き、ぜんざいでお祝いをしました。 その時、この日を図書館の日にしようという提案がありました。
 今年もまたその日が巡ってきました。例年どおり、 「図書館フレンズいまり」の方が300食のぜんざいをつくり、 来館者にふるまわれます。
 ぜんざいを食べながら、市民図書館めばえの日をみんなで祝い、 私たちが図書館をもったことの意味をいまいちど、考えてみましょう。

 日時 2月25日(日) 午前11時30分~
 場所 市民図書館展示ホール付近

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