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平成14年2月号

・「池田龍雄と黒澤明」
・伊万里変わりゆく原風景
・伊万里市民図書館の望ましい基準策定スタート
・図書館協議会委員募集(お知らせ)
・貸出350万冊達成(お知らせ)
・めばえの日をいっしょに祝いましょう(お知らせ)
・忘れていませんか?ついつい…うっかり…

★ 1面
「池田龍雄と黒澤明」

 池田龍雄さんは二里町の出身で、アバンギャルド(前衛)芸術家として有名な方ですが、その他に多方面な分野で様々な自己表現を試みていらっしゃいます。
 そのひとつとして、児童書の装幀やさし絵などの仕事があります。
 その原画と出版されました児童書の数々を、この市民図書館にご寄贈いただいたことから、先の特別展示会と記念講演会(1月27日)の開催となりました。
 今回は児童書のさし絵にスポットを当てましたが、先に述べたように池田さんの活動は、複雑化する現代社会に対応するかのように、絵画に始まり、映画、著作など実に幅広い分野に及んでいます。

 そこで思い出されるのが、黒澤明のことです。というのも、黒澤監督は最初画家を目指して、二科展にも入賞する程の腕前だったのですが、その後映画に転じられ、世界的巨匠となられます。
 時代と社会に真摯に向かい合うことで、自らの芸術を築かれてこられた池田さんのことです、時代の様々な芸術に敏感に反応している筈ですので、絵画的センスに溢れた黒沢作品にきっとどこかで出会っている筈だと思い、池田さんの著書をめくってみました─── 
 「ブツブツとメタンガスの泡立つ泥沼の岸に、白百合が一輪朝の陽に輝いている。腐ったリンゴの皮や下駄のはなお魚の骨をうずたかくなったゴミ溜めの土から一本の夕顔のつるが伸びている…この極端な対比は感動的だ。(中略)『酔どれ天使』を観る。人間性の赤裸々な姿に触れた様な気がした。」(「夢・現・記」で昭和23年5月2日の手記より)と、ありました。
 実に絵画的な感動表現だと言えますし、感動の内容が未来のアバンギャルド芸術家池田さんの面目躍如たるところが伺えます。ここにも黒澤芸術が、日本の若い文化形成者に与えた影響の証言がありました。

 それから幾星霜。この伊万里の地に黒澤記念館が建つことになり、人の世の邂逅と不思議な縁(えにし)に思いを馳せるのでした。

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★ 2面
伊万里変わりゆく原風景

 自分の生まれ育った土地を「ふるさと」と言うのなら、誰にでもそれはある。でも、そこを「ふるさと=心の原風景」として懐かしがるのは、そこから遠く、あるいは長く、離れて暮らしている人に限られるだろう。
 わたしの生まれは昭和3年(1928)の二里村、今の伊万里市二里町。だからそこが「我がふるさと」である。けれども、そこで過ごした年月は、2002年の現在まで73年余を生きた中のわずか18年間だ。昭和18年から2年間は海軍航空隊、そして戦後は昭和23年春、美術学校に入ってそのまま東京に住み着いてしまい、以来、ざっと54年になる。しかし、どうやら子供の頃の時間の密度は、大人のそれに比べてずっと大きいから、たとえ18年対54年でも、中身の濃さではあまり差がないのかも知れない。

 「人生は思い出ならずや」と、吉田一穂という詩人はしみじみと言った。思い出とは記憶にほかならないのだが、その「記憶」もまた、たとえ古くとも、子供の頃の方が大人に成ってからよりもずっと強くて鮮やかである。目を瞑れば、幼い日のある時のある場面の情景を、まるで写真でも見ているかのように明瞭に思い出すことができる。その場合、何故か、辛いこと、嫌なことは、いつしか時間が洗い流してしまうらしく、すべてが何だか楽しく面白かったもののようになって蘇ってくるのだ。おそらく、誰にとっても子供時代の思い出とはそういうものではなかろうか。だから大方の人にとって「ふるさとは懐かしきかな」となる。一穂の口調を借りれば、さしずめ「古里は思い出ならずや」ということになるだろう。
 ところで、頭の中の過去の記憶、瞼の奥の古い映像は、映画のように連続して動くものではなく、1場面1場面、写真のように静止したままだ。ひとたび眼底に焼き付き、脳裏に刻み込まれた像は、なかなか頑固で保守的で、おいそれと変わりたくないらしい。だが、現実の風景はあいにく、世の中の動きとともに刻々変わる。変わるから、思い出の中の変わりたがらない「原風景」との間に大きなズレが生じてしまうのである。

 せっかちな国民性の故か、やたらに開発とか発展を急ぎたがるこの国の変化は異常に早い。戦後の「国破れて山河あり」の感慨も、その後の急速な経済成長で、いつしか「国栄えて山河荒る」の慷慨に入れ替わってしまった。しばらくぶりに帰郷してみると、まるで竜宮から戻った浦島太郎のような気分になることがある。瞼の裏の懐かしいセピア色の写真にぴったり重なり合う処など探せど見えず、辛うじて昔の稜線を保っている遠い山並を除けば、家も道も田も川も昔日の面影は一切なく、ここはいったい何処だろうと戸惑うばかりだ。故郷を、変わらない思い出の中にずっと閉じ込めておきたい者にとって、そのことはとても悲しく淋しく、願わくばいつまでも昔のままであった欲しいのだが、しかしどっこい、現実はそれを許さない。離郷した者が記憶の底にそっと仕舞っているイメージなどにお構いなく、現風景はどんどん変わり、原風景を容赦なく遠退けて、交通機関の発達で時間的距離は大いに縮まったのに、心理的距離を逆に広げてしまうのである。

 ただし、有り難いことに、ゆっくりとしか変わらないものが幾つかある。そのひとつは方言。懐かしの伊万里弁だ。方言は生きている大切な文化遺産である。…そがんばい、よかよ、こっちぃきんしゃい…。「ふるさとのなまりなつかし…」とばかり「停車場」(もはや「停車場」という言葉も死語になったが)に降り立てば、すぐに耳に入ってくるそんな言葉。若者の口からは徐々に消えつつあるけれど、どうやら、伊万里に帰ってそれが聞かれる間は、わたしは決して淋しくならないですむようだ。
(池田龍雄)

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★ 3面(1)
伊万里市民図書館の望ましい基準策定スタート

 平成13年7月18日、文部科学省は「公立図書館の望ましい基準」を定め告示しました。しかし、この基準には数値目標が示してありません。そこで各々の図書館では適切な指標を選定し、その達成へ向けてサービスに努めるとともに、年度ごとに自ら点検、評価を行い、結果を住民に公表するよう努めなければならないとしています。
 私たちの図書館の旗印は「伊万里をつくり市民とともに育つ市民の図書館」です。「望ましい基準及び数値目標」も多くの市民のみなさんのご意見を反映しながら策定したいとおもっています。
 「公共図書館の望ましい基準」全部をここに掲げるのは紙面の都合でできませんが、関係の深い市町村図書館の一部を紹介いたします。

市町村図書館
(1)運営の基本
 市町村図書館は、住民のために資料や情報の提供等直接的な援助を行う機関として、住民の需要を把握するように努めるとともにそれに応じ地域の実情に即した運営に努めるものとする。

(2)資料の収集、提供等
 ①新刊図書及び雑誌の迅速な確保、図書館の機能を十分発揮できる種類及び量の資料、地域内の郷土資料及び行政資料  
 ②電子資料の作成、収集・提供
 ③本館、分館、移動図書館等の書誌データーの統一的な整備、インターネットを活用した検索システムの整備。  
 ④著作権の侵害に対する注意。

(3)レファレンス・サービスの充実

(4)利用者に応じた図書館サービス
  成人・児童青少年・高齢者・障害者・外国人に対するサービス。

(5)多様な学習機会の提供 
 読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等学習活動の場の提供、設備や資料の提供。

(6)ボランティア参加の促進

(7)広報及び情報公開 

(8)職員・館長と専門職員

(9)開館日・開館時間の設定は地域の状況や、住民の多様な生活時間に配慮する。

(10)図書館協議会は利用者の声を十分に反映した図書館の運営がなされるよう努めるものとする。

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★ 3面(2)
図書館協議会委員募集

 図書館協議会とは、伊万里市民図書館運営の諮問機関です。今回、この図書館協議会の委員を募集します。

☆募集資格  市内在住の20歳以上の人
☆募集人員  2名
☆任期  平成14年4月1日~平成16年3月31日(2年間)
☆募集期間  2月1日(金)~3月8日(金)

☆申込方法
 図書館の運営に関する作文を800字程度にまとめ、住所・氏名・年齢・職業・電話番号を明記し、持参または郵送で図書館まで提出してください。

☆問合先   伊万里市民図書館 TEL 23-4646 FAX 22-3231

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★ 3面(3)
貸出350万冊

 市民図書館が、平成7年7月に開館して以来、総貸出冊数がまもなく350万冊を突破する予定です。
 この記念すべき350万冊目の本を借りられる利用者の方には、図書館から記念の証と記念品をプレゼントします。また、前後賞も用意していますので、どうぞお楽しみに!
 達成予定の時期は、3月上旬から中旬にかけてです。ご家族みなさんで、350万冊目にチャレンジされてはいかがですか?お待ちしています。

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★4面(1)
めばえの日を一緒に祝いましょう

 2月26日は『図書館めばえの日』です。平成6年のこの日、市民図書館の起工式がおこなわれました。式後「図書館づくりをすすめる会」の呼びかけで市民200人が集い、建設用地を設計者の案内で歩きました。また、この時ぜんざいがふるまわれ、皆でお祝いしたことにはじります。
 今年も「図書館フレンズいまり」の方々がぜんざいをつくり、来館者にふるまわれます。古本バザーも行われますので、ぜひお越しください。
★3月3日(日)
 ◆ぜんざい整理券配布 10時~(フレンズコーナー付近)
 ◆ぜんざいとの引きかえ 11時30分~12時30分まで
 ◇古本バザー 10時30分~15時まで
 ◇いすの木合唱団コーラス 12時30分頃~

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★4面(2)
忘れていませんか?ついつい…うっかり…

 市民図書館では1日に平均約1300点の貸出があり、多くの方々に利用していただいています。しかし、貸出期限があることをお忘れではありませんか?本は2週間、雑誌や視聴覚資料(CD・ビデオ・カセット)は1週間、絵画は1ヶ月です。
 ぜひもう一度、お手元を確かめて、必ずご返却下さい。

 来館できない場合は、郵便・宅配便で返却していただいても結構です。(その際の送料は利用者の方の負担となります。)自動車図書館「ぶっくん」でも返却ができます。また、図書館に2ヶ所あるブックポスト(駐車場側・子ども玄関横)は24時間返却が可能ですので、図書資料はこちらをご利用ください。

 図書館資料は市民みんなの財産です。ルールを守り上手に活用していきましょう。

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