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平成14年3月号
・「本・子ども・未来」
・生きる力をはぐくむ読書活動推進事業
・絵本だいすき!おはなしだいすき!
 ~「久留米子どもの本の学校」に参加して~
・黒澤学vol.15 黒澤明と「かいけつゾロリ」
・《福祉喫茶「あおぞら」リフレッシュ》
・新作続々 エプロンシアター

★ 1面
歴史に学ぶ「本・子ども・未来」

 いま、子どもの読書に光が当っています。
 「 2000年子ども読書年」や国際子ども図書館の開設に始まり、本年度の始めには文部科学省が、地域で行う教育改革・国民運動の一環として「地域で子どもを育てる3つの実践運動」を提唱しました。内容は「きちんとあいさつをする子どもに育てましょう」「きちんとした姿勢ですごすことができる子どもにしましょう」「子どもへの読み聞かせや朝の読書運動などをすすめましょう」というものです。国民運動として、子どもの読書が取り上げられたことは特筆すべきことです。
 さらに、12月には「子どもの読書活動の推進に関する法律」が国会で可決成立をし、毎年4月23日を子どもの読書の日にすることが決まりました。

 伊万里市ではこうした風を受け止め、様々なことに取り組んでいます。一昨年の「絵本学会大会」では、全国から絵本作家や研究者たちが伊万里の地で一同に会しました。その後の子どもの心を育てる事業の数々、その1つが今月2日に行われた「生きる力をはぐくむ読書活動推進」の研究集会です(詳細は次に報告)。また、市の広報では新年号の特集として「子どもの読書」を取り上げ大きな反響を呼びました。ボランティアグループ「おはなしキャラバン」は今年、伊藤忠財団の助成を受け、赤ちゃんのときから本と触れ合うことの大切さを学習する計画を立てています。

 ところで人はなぜ学ぶのでしょうか。江戸時代の儒学者・佐藤一斎は「言志四録」の中で言っています。
 「若くして学べばすなはち壮にして成る。壮にして学べばすなはち老いて衰えず。老いて学べばすなはち死して朽ちず」
 まさに生涯学習です。生涯学習は自己学習であり、自分で計画を立て自らの目的にそって自ら学ぶことですが、自発的な行為である読書はまさにその根っこを作っているといえましょう。
 「子どもが本を読まないまちに未来はない」といわれますが、自ら学ぶことを身につけた子どもたちが大人になった暁には、私たちの伊万里市はすばらしいまちになっているでしょう。しかし、読書とはイベントではなく地道に持続的に続ける個人的なものです。この風が一過性で終わることがないように、みんなで新しい風を送り続けていきたいものです。

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★ 2面
生きる力をはぐくむ読書活動推進事業

 「子ども読書年」の平成12年度に、文部省の委嘱を受け、子どもたちの「生きる力」をはぐくむ読書活動の在り方について、伊万里中・大坪小・立花小・市民図書館を核として研究を進めてきました。
 今年度は、研究のまとめの年にあたります。
 日々の、どのような取り組みが子どもたちを読書の世界へと導いてくれるのか、心豊かな子どもに育てるための読書活動の在り方はどうあるべきかなどについて、3月2日(土)、市民図書館において、「生きる力をはぐくむ読書活動推進に係る研修会」を開催しました。

 読書活動に係る研修会! 
 本研修会では、『読み語り』、「子ども・本・未来」をテーマとした『パネルディスカッション』、『講演会』(講師:熊本子どもの本研究会 代表 横田幸子先生)を行いました。
「読み語り」は、現在、小学校10校・中学校3校において、朝の読書の時間に行われています。
 朗読をされるのは、読書ボランティアの方々です。
子どもたちは、ボランティアの方による「読み語り」に、身を乗り出して、耳を傾けているようです。

 パネルディスカッションでは、この「読み語り」の成果として、『子どもたちが、落ち着いた学校生活を送るようになった』・『思いやりの心が育った』・『読書への関心が高まった』などの報告がなされました。
 読書ボランティアの方々は、「子どもたちに読書の楽しさに気づいてほしい」という思いのもとに活動を続けておられます。

 ボランティアの方々の熱心な取り組みにより、子どもたちは読書の楽しさだけでなく、他との関わりの大切さ、思いやり、物を大切にする心なども 学んでいるようです。
 学校においては、学校図書館の環境整備、読書週間の設定、学級文庫の設置、教科等と関連させた読書活動などの取り組みが行われています。

 学校やボランティアの方による読書活動の拠点となっているのは、市民図書館であることも分かりました。
 市民図書館には、図書の貸出だけでなく、子どもに読ませたい図書の選定や読書指導のノウハウなど、読書活動の多面的な支援と情報の提供を頂いています。
 今後も、学校・地域,家庭・図書館の連携を益々深めていくことが重要であるようです。

 講演では、「わたしの読書活動の原点」という演題で、横田先生の熱意あふれるお話を伺うことができました。
 読書活動に取り組まれたきっかけ、活動のエネルギーの源となった事例などについて、先生ご自身の体験をもとにしたお話をして頂きました。  
 横田先生の活動エネルギーの原点には、先生ご自身の『家庭』の存在が大きなウェートを占めているようでした。
 先生の(我が子を本の好きな子どもに育てたい)という思いが、やがて、(多くの子どもたちを・・・!)とふくらんでいったようです。

 研修会を終えて・・・・ 
 読書は、知識を増やすだけでなく、心を育てる、創造力を高める,親子のふれあいを深めるなど、多くの効果を期待できます。しかし、(子どもたちに、よい本を与えたい)という強い気持ちが、逆に読書を嫌がる子にしてしまう面もあるようです。
 子どもたちには、可能な限り、本と自然に出会わせるように仕組み、最終的には子どもが自発的に読書をするように仕組んでいくことが、大人の役目ではないかという課題も指摘されました。

 これからも、読書ボランティア、学校、市民図書館、保護者の連携により、「読書が好き!」と目を輝かせ、自ら本を求める子を増やしていきたいものです。


 子どもの読書の実態は?
 『あなたは、読書が好きですか?』
 「読書が好き」と回答した子は、小学校4年生が86%、6年生が71%、中学3年生64%という結果でした。学年が上がるにつれて、割合は下がるものの過半数を超える子どもたちが「好き」と答えています。その理由としてはどの学年でも『楽しい・面白い』が1位でした。(読者アンケートの結果から)
                              
(報告:伊万里市学校教育課 前田弥三)

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★ 3面(1)
絵本だいすき!おはなしだいすき!
 ~「久留米子どもの本の学校」に参加して~


 『久留米子どもの本の学校』は、子どもの本が好きな人が集まり、子どもの本に携わっている方のさまざまな話を聞く会で、今回で23期を数えます。

 3回にわたる講座で、第1回目の講師は、絵本作家の村上康成さん。演題は《アウトドアでアトリエで》。「はるのやまはザワザワ」や「星空キャンプ」など、これまで数多くの絵本を描かれています。こうした作品に村上さんのアウトドアでの活動が深く結びついていると感じました。また、最新作「そらはさくらいろ」をスライドで紹介され、場内はあたたかな雰囲気につつまれると同時に、新作を手にする期待にあふれていました。
 第2回目は、詩人として、また、絵本作家として活躍中の内田麟太郎さん。絵本「さかさまライオン」に代表される長新太さんとのコンビの作品のことや、ナンセンスやユーモアが生み出す不思議な力のことなどを、《いいかげんはよいかげん》と題して話されました。
 第3回目は、児童文学作家の上橋菜穂子さん。《物語をかくこと フィールドワークの間で》というテーマで、幼少の頃のイギリス児童文学との出会い、作家になったきっかけとも言うべき、「グリーン・ノウ物語」のボストン夫人との出会いについて語られました。さらに、上橋さんのもう1つの顔である文化人類学者としての文化論など興味深いお話が尽きませんでした。

 会場はいずれも大盛況で、多くの方が子どもの本に関心を持っていることを改めて感じました。

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★ 3面(2)
黒澤学vol.15 黒澤明と「かいけつゾロリ」

 昨年12月15日、「かいけつゾロリ」の原作者・原ゆたかさんをお招きし、市民図書館でお絵描き講座をしました。
 原さんは、当日参加した子どもたちへのプレゼントとして、ご自身の人気シリーズ「かいけつゾロリ」の最新作(実に30作目)、「ラーメンたいけつ」を持参されました。

 「ラーメンたいけつ」のお話しをかい摘んで言いますと、とある町に美味しさを張り合っている、つるつる軒とカメカメ亭というラーメン屋があり、それぞれ甲乙つけがたい状況のため、お互いを煙たがっていました。
 その敵愾心と猜疑心につけこんで、ゾロリたちが一儲けを企もうというのが、大まかなストーリーなのですが、「おや、どこかで聞いたような話ではないか?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 そう、「ラーメンたいけつ」は、黒澤明の「用心棒」のパロディなんです。「用心棒」は、上州の小さな宿場町にぶらりと通りがかった桑畑三十郎と名乗る浪人者が、この町で対立抗争している2組のやくざグループの両方に、うまいことを言って双方を衝突させ破滅させるというお話でした。
 それをそのまま「ラーメンたいけつ」に置き換えると、つるつる軒とカメカメ亭は破滅してしまうのですが、そこは子どもの心を大切に考える原さんのこと、結末を次のように改めてあります。

 つるつる軒とカメカメ亭には、それぞれ孝行息子と孝行娘がいて、お互いの店のラーメンの良さをミックスした愛情いっぱいのラーメンを作ります。それがすっかり評判を取り、離れていったお客さんをまた店に呼び戻し、失意の親たちを救うことで、この物語を心なごむ大団円で終わらせています。
 結末は大きく違っているとはいえ、黒澤の作劇のうまさは、こんな形で「かいけつゾロリ」の中に活かされているかと思うと、改めて黒澤の偉大さを感じてしまうのでした。

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★ 4面(1)
福祉喫茶「あおぞら」リフレッシュ

 図書館くつろぎコーナーにある福祉喫茶「あおぞら」が、2月1日(金)装いも新たに再開されました。新メニューも登場し、価格もお手ごろになっております。多くの方々の利用をいただきたいと、スタッフの皆さんは大いにはりきっておられます。

 ★オープン時間
 午後11時30分 ~ 午後2時30分
 ★おもなメニュー
 ・カレーセット 480円
 ・ロールサンドセット 450円
 ・うどんセット 450円     ほか

 ぜひ、皆さんご活用ください。

 福祉喫茶「あおぞら」は『手をつなぐ育成会』の手によって運営されています。

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★4面(2)
新作続々 エプロンシアター

 毎週水曜日、図書館創作室で布の絵本やタペストリーなどの制作活動をされている、ボランティアグループ「てんとうむしの家」の方々より、エプロンシアターの新作が届きました。子どもたちを本の世界へ誘うお手伝いをしたい、という思いが一針一針に込められた作品が5点。そのうちの2点は、親子で楽しめるようにと、かわいらしい子ども用のエプロンシアターもあります。
 これらの作品は、図書館資料として団体の利用をはじめ、毎週土曜日に行っているおはなし会などで活用させていただきます。

 ★新作紹介
 ・たのしいおべんとう
 ・みつけたのだあれ?
 ・カエルののどじまん
 ・トントン、だれのおうち?
 ・サンタさんプレゼントなあに

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