> トップページ > 伊万里市民図書館について > 広報 としょかん通信 > 平成17年新春号




平成17年新春号

・北の町からの便り
・国際的画家 横尾達彦氏講和
・「有田焼万華鏡」開発ものがたり
・隔号連載第3回 お父さんもガンバってます!
・祝 めばえの日(お知らせ)
・県立図書館郷土研究講座(お知らせ)

★ 1面
北の町からの便り

 冬将軍の訪れで、北海道地方は連日真冬日の予報が流れるようになりました。そんな北国から感動の便りが舞い込みました。

 「帯広市にも新図書館がまもなくオープンすることになりました。その前にぜひ市民と協働の図書館サービスを拝見したいと、飛行機を乗り継いで伊万里を訪れました。
 最初に道を尋ねたのは若い娘さんでした。『私は図書館が大好きです。今まで駐車場のライン引きのボランティアをしていました。でも、きょうは休館日ですよ』そうか、今日は月曜日なのだ。自分の迂闊さを恥じながら、しかし、ここまで来たのだからせめて外観だけでもと歩を進めました。
 次ぎに道を尋ねたのは焼き物屋のご主人。中から奥さんも出てきて『図書館はいつも利用しています。休館日だけど役所に電話をしてみましょう』交渉は不発に終わったものの、お二人の図書館びいきに感動しました。
 最後にタクシーに乗りました。降車して窓から中の様子を見ていた私の横に立って嬉しそうに説明を始めたのは何とタクシーの運転手さんでした。
 伊万里では4人の方と出会いました。驚いたのは4人とも図書館を大切に思っている人ばかりでした。伊万里はなんと素晴らしい町でしょう。
帯広市 梶澤」

 これまで伊万里という窓から、羨望の眼差しで外界を覗いたりすることもあったのに、大切なものは私たちの手中にあったのです。図書館ばかりではない、山も川も海も、そしてここに住む人々も。
十勝平野にはきょうも雪が降り積もっていることでしょう。

▼もどる
★ 2面
国際的画家 横尾達彦氏講話
12月2日


 「次の世代に残したい心、芸術と霊性!」
 これは、横尾龍彦氏の講演案内状のタイトルです。私はこの演題と紹介の文中にある「霊性、生命の根源」といった言葉に興味を惹かれ、講演会に参加しました。
 氏は国際的な画家という事でしたが、実のところ、氏の名前も作品も全く知りませんでした。
 案内状の氏の顔写真はいかにも眼光鋭く、口を真一文字に結んでいかめしい感じを受けましたが、ほぼ満杯の会場での氏の話し振りは、それとは裏腹に柔和な眼とやさしい語り口でした。
 氏は敬虔なカトリック教徒で、日本の秩父とドイツの二箇所にアトリエを構え、一年の半々を両地で活動されているそうです。
 講演では、最初に西洋と東洋の文化や伝統の違いに触れ「日本人がヨーロッパで洋画の技法で絵を表現しても見向きもされない。やはり東洋の精神や伝統を尊重してこそ独自性が認められる」といった話を聴き、なるほどと感じました。
 紙面の都合で印象に残った氏の語録をいくつか紹介します。

「自分は絵を制作する時は、座禅を組み、瞑想に浸り、
  心を虚無にして制作する」
「枯木竜吟」
「芸術を深く探究しようとすれば、事物の表層でなく、
  奥深く隠されているものを言語化しなければならない」
「私にとっての芸術行為は霊的存在との合体行為である」


などなど、私ごとき凡人では理解できない異次元の宗教的、哲学的面の濃さを感じました。
 私は講演会後、氏の作品を見てみたいと、早速、図書館にある氏の画集を借り、鑑賞しました。氏の作品は、他の作家とは一味も二味も違う異色の独創的な作品集でした。抽象的な表現方法ですが、単なる色と形による抽象表現ではなく、そのフォルムと筆勢や色の深みは、見る者を霊性や神秘性を暗示するような、深淵で不可思議な世界へと誘う魅力や力が宿っていました。氏は希にみる精神性、宗教性に富んだ作家だと感じました。とても、私たち凡人が到達できるような表現の世界ではありません。
 現在、氏はドイツと日本で芸術活動や絵画制作に没頭すると共に、地域の住民や子ども達と活動を共にし、日独親善にも寄与されているとの事です。
 氏の今後の益々のご活躍と発展を祈念します。また、今回このような意義ある講演会を開催頂いた図書館関係各位のご苦労に感謝申し上げます。
栗原 崇(伊万里町)

▼もどる
★ 3面
「有田焼万華鏡」開発ものがたり

●図書館は問題解決の宝の山
 私は、伊万里図書館を利用する度につくづくそう思う。館内の膨大な書籍や雑誌・ビデオ教材は、接するたび自分の勉強不足を痛感させてくれるし、同時に『なぜだろう』という素朴な疑問や興味をもたせてくれる。館内の雰囲気は、いつもワクワク・ドキドキ-知的好奇心を沸き立たせてくれる。若い中学生や高校生の一生懸命勉強する姿に心を打たれ、また談笑の姿を微笑ましく思う。お年寄りからは人生生涯勉強であること。また『青春とは、年齢ではなく、心の若さである』ことも学ばせていただく。とにかく、旺盛な問題意識を持つ人にとっては、『課題解決のヒントを与えてくれる素晴らしい知恵の宝庫』であると考えている。

●私が取り組んだ新商品開発とは
 私は3年前、長年勤めた関西の会社を退社して家内の実家を引き継ぐため有田に戻ってきた。私を待っていたのは、長引く不況のため低迷し、活気を失いつつある町の現状であった。家業は焼き物を入れる箱や梱包材などを手がけている。このまま、窯業界の低迷が続けば、家業も厳しい状況となるのではとの強い危機感を抱いていた。私は関西の企業で、松下幸之助氏に興味を持ち、氏の経営哲学を学んできた。そこでもし、松下氏だったら、『この不況をどのように考え、乗り越えられるだろうか』と自問自答した。そこで得た結論は、きっと松下氏だったら、『不況は発展のチャンス。道は無限にある。』と自らを励まし多くの人たちに衆知を集めて、『世界初の喜ばれる商品』を次々と世に送り出されるだろうということであった。そこで早速『平成15年度たくましい佐賀企業づくり事業支援制度』の認定を受け異業種の方々の衆知を集め、数々の課題を解決し、世界初の磁器製万華鏡『有田焼万華鏡』を完成させる事ができた。本年5月有田陶器市でデビューし、6月には東京の大型百貨店や世界万華鏡大会(米国・オレゴン州)に出展販売しお蔭様で高い評価と大きな反響を得ることができた。その開発物語がこのたび月刊誌『歴史街道』(創刊200号記念号、6Pカラー)に掲載され紹介されることとなった。多くの方々との出合いとご支援をいただき素晴らしいスタートを歩み出すことができ感謝である。

●活用した書籍
 その間、商品開発や販売施策で生じた課題解決のためにお借りしたものは、下記のような書籍・雑誌・ビデオであった。その点数は毎月50点にも上った。
 1. 万華鏡の歴史や製作に関した雑誌や書籍。
 2. 磁器の歴史や作家・窯元の作品、また人間国宝の技法や考え方などの書籍やビデオ。
 3. 『癒し文化(光・音・匂い)』に関する知識や関連医学の書籍。
 4. 松下幸之助氏・稲盛和夫氏など名経営者の執筆本。
 5. 国や県の支援制度関連書籍や成功するためのプレゼンテーション技法など。
 6. 今売れているトレンドや販売施策について研究した雑誌など。

 近くて便利な伊万里図書館がなければ、次々に生じる課題を解決するためのヒントを得ることができていなかったかもしれないと思う。加えて私にとって継続の習慣となった月50冊読破も大きな財産となった。
 これからも、企業を取り巻く環境はますます厳しさを増してくると予想される。その問題解決をする一助としても、企業に勤める社員の皆さんが気軽にまた有効に地元図書館を活用してもらいたいと願うものである。最後に職員の皆様の親切な対応と笑顔のサービスに心から感謝申し上げたい。
石川慶蔵(有田町)

▼もどる
★ 4面(1)
隔号連載 第3回
 お父さんもガンバってます!
 宮原 寛さん(立花町)中学校PTA会長


 読み聞かせ!それは情緒に栄養。精神に活力。そして何より研ぎ澄まされた想像力を漲らせます。小学4年生で読んだヘッセの車輪の下、中学になって出会った赤毛のアン、そして広がる宇宙の広さを感じた白鯨。読書によって私の感性は大きく膨らみました。
 現在、私は伊万里中学校で朝読書の時間に読み聞かせをしています。題材は挿絵の入った昔話やそれこそ絵本に近いものまで主々様々です。読んでいる間、生徒たちの食い入るような視線をひしひしと感じています。何より集中している様子が体中に伝わってくるのです。若年層とりわけ義務教育課程の読書離れ、本嫌いと世間では言われて久しいのですが、なかなかどうして、本に対する興味や関心は心にきちんと居座っています。生徒の心に根ざした僅かな興味の兆しが、ひいては将来本好きになるのであれば、何も言うことはありません。こういう希望が見て取れるからこそ、読み聞かせに気合いが入るのだと自分でも思っています。
 ある女子生徒から、「おじちゃんこの前図書館に行ったよ。」と声をかけられました。思うにこの子は今まで図書館へ出向いたことがなかったのだと感じました。その言葉の裏に隠された『読み聞かせありがとう』が無言の感謝と見て取れました。こういう子どもが一人でも二人でも増えてくれたからこそ甲斐があるってものです。女の子の後ろ姿に「おじちゃんこそありがとう」と無言で答えました。

▼もどる
★ 4面(2)
祝 めばえの日(お知らせ)

 平成17年2月27日(日)

 平成6年2月26日図書館の起工式には大勢の市民が集い、ぜんざいでお祝いをしました。この時のよろこびを忘れないようにと毎年、図書館フレンズいまりから来館者へぜんざいがふるまわれます。
 今回は上記の日程です。詳細は館内のお知らせをご覧下さい。

▼もどる
★ 4面(3)
県立図書館郷土研究講座

 日時:平成17年1月22日(土)
     午後1時30分から
 会場:市民図書館ホール
 演題:「伊万里の江戸文芸」
 講師」田中道雄さん(佐賀大学名誉教授)

 入場無料

▼もどる








- copyright(c) Imari Public Library All Right Reseaved. -