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平成23年 新春号

 
(今月の記事)
◆ ふるさと伊万里の贈りもの ―愛郷の詩人を偲んで―
◆ 人と人とのつながりを大切に  黒川町家読(うちどく)の取り組み
◆ 幼小連携から見える家読の成果
◆ 日本フィル弦楽四重奏in伊万里
◆ よい子のみんな、図書館に集まれ!
◆ 「池田龍雄-アヴァンギャルドの軌跡」展
◆ 寄贈ありがとうございます

★ 1面
ふるさと伊万里の贈りもの ―愛郷の詩人を偲んで―
                                  前田 和茂

 十二月五日、市民音楽祭が開催された。
 それには、「愛郷の詩人・片岡繁男さんに捧げるふるさとのうた」というタイトルが付されていた。演奏では、片岡繁男作詞の数々のふるさとのうたが奏でられ、その歌声の余情が今も心に残っている。
 片岡繁男先生は、私にとって文学の師であり、人生の師表でもあったが、先生ほど伊万里を愛し、ふるさと伊万里を文学の母体とも主軸ともした文人、詩人は稀だと思う。
 幼童の頃から、先生の中に萌芽した伊万里は、一筋の川となって脈々と流れ続け、片岡文学とその思想のバックボーンになっているのである。
 伊万里の市制二十五周年を記念して作詞された「この山河伊万里よ」で始まる交響詩伊万里や、七連の詩から成る交声曲伊万里は、不朽の名曲として、今も多くの市民に歌い継がれ、親しまれている。
 先生は、小中高九校の校歌を作っておられるが、かつて啓成中学校の校歌を作詞されるとき、先生にお伴して払暁の運動場に立ったことがある。
 暁闇に包まれた校舎を見据えておられた先生は、やがて空が白みかけ、建物がその輪郭を現し始めたとき、「あ、校舎が身づくろいを始めた」「両手を広げて、生徒たちを迎え入れる準備をしている……」先生が校舎に話しかけられているのだ。客体と主体とが、渾然一体となった境地である。
 そのときだった。天空を切り裂いて、甲高い声が響き渡った。「テッペンカケタカ」「テッペンカケタカ」杜鵑の鳴き声であった。心耳をそばだてて聴き入っている先生は、まさに行者の姿であった。後日先生は、「あの杜鵑(ホトトギス)は、ふるさと伊万里の贈りものだった」と回想されている。
 また先生は、「私の中の生縁には『生まれ故郷』と『本来の家郷』とが一緒になってある」と述懐されている。この言葉には、伊万里に対する感慨が凝縮されており、まさに片岡文学の源泉だと思う。先生の伊万里への思いは、「信仰」であり、伊万里こそは片岡文学の本質だと思う。
 「故郷は遠くにありて思うもの」と詠った詩人もあるが、先生にとってのふるさとは、常に先生の中に同化していたのである。
 この七月、ご子息の片岡英男さんが「鶏頭花」と題するエッセイ集を発行された。
 心に沁みる、味わい深い文章を噛み締めながら、ご父君の文学精神とその偉業が、確かに継承されていると痛感した。
 夜な夜なの親子の語らいのとき、先生が「いまこの時、この世では多くの親と子が対話しているであろうが、私とこの息子とのそれは、どの親子の対話にも劣らないほど価値高いものだ」と呟かれたという。
 先生の眼鏡の奥の優しい眼差しと温容が、しみじみと浮かんでくる。




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★ 2面
人と人とのつながりを大切に
   黒川町家読(うちどく)の取り組み

                     黒川町親と子の読書会  羽柴よしえ

 明けましておめでとうございます。
 新年の装いに飾られた図書室の飾り棚が、私たちを出迎えてくれる黒川公民館。玄関真正面にある「絵本の花畑」は家読の町・黒川自慢の図書室です。町民の要望で新公民館に立派な図書室が誕生して10年。今思えばその時から家読への第一歩が始まっていたのかもしれません。土曜図書館や小中学校での地道な読み語りが、素晴らしい家読の世界へとつながっていきました。
 黒川町の家読の一年を振り返ってみます。通年では幼小中学校での読み語り、毎月第2土曜日のお話し会、第4土曜日の家読集会などがあります。その他の主だった活動として2月、村山早紀氏を迎えての家読報告会。7月、公民館ホームページに家読ブログ開設。寄付金による700冊の絵本購入を機に図書室を「絵本の花畑」と称し、読みたい絵本に出会える図書室づくり開始。8月、夕涼みお話し会、家読標語募集。10月、幼小読み聞かせ会。12月クリスマスお話し会などがありました。絵本の楽しさを通して家読の推進が積極的に図られました。また幼保小中学校、区長会、子ども会、読書会で構成される家読連絡会という組織があり、年に数回例会を開きます。活動報告や意見交換の場となり、町ぐるみでの推進において重要な役割を果たしています。
 家読は現代社会で希薄になってきた、家族の絆を深める一つの手立てです。「人と人とのつながりを大切に」する黒川町が、家読に取り組んで4年、私たちは家読の持つ力を確かに感じています。「なぜ今さら読書?」取り組み当初あった読書そのものさえ否定される声が、家読を通し家族がふれ合う大切さ、生身で向き合う時間を共有する喜びの声へと確実に変わっています。学校での読み語りが親子へ、さらに祖父母と孫、子供同士へと様々な形で広がりを見せています。
 読書推進運動は時間がかかる地道な活動ですが、今後も地域・学校・公民館が一体となって、「家読の輪」を一歩一歩広げていきたいと思います。

「家読で心一つに家族の輪」
「家読で心つなげて育つ町」 

  大きな夢を持っての家読推進。家族にとっても町にとっても、家読が
  果たす役割は決して小さなものではないでしょう。
  第63回優良公民館文部科学大臣賞受賞『家読推進事業』への取組みが全国でも初めての特色ある公民館活動として評価された。



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★ 3面(1)
幼小連携から見える家読の成果
                    伊万里市立黒川幼稚園長 西エイ子


 本園では、今年度、読書活動を通した幼小連携に取り組んでいます。様々な交流の中でも、二年生による読み聞かせの交流は、黒川町全体で取り組んでいる家読の成果を反映していることを強く実感しました。
 日頃からたくさんの読み聞かせを経験している子どもたちの間には、絵本を通して自然な読み手聞き手の関係ができあがります。読み手の二年生は絵本を選ぶ時、また、読み方の練習の時から相手を
意識した姿がありますし、今まで自分が読み聞かせをしてもらった経験が生かされていました。又、聞き手の幼稚園生も、始まりの一声から、絵本に引き込まれていきました。「幼稚園生がよく聞いてくれたので緊張したけど楽しかった。」「二年生の読み方はとても上手。又読んでほしい。」という双方の気持ちの盛り上がりが、一回の交流にとどまらず二回の交流に発展し、絵本をもとに、劇への発展という内容の深まりに結びついていきました。
 家庭や地域での、家読の取り組みが子供たちの心にしっかり根づいてきていることを交流を通して感じました。




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★ 3面(2)
日本フィル弦楽四重奏in伊万里

 今回初めて日本フィルとの共催で弦楽四重奏による演奏会を開催しました。この演奏会は来年2月17日に唐津市民会館で開催される九州公演のPRと公演へ出かけられない方や地域の方へ音楽をプレゼントしようという目的で開催されました。会場の椅子席が満席で、階段や予備の椅子まで使用する状況で160名を超える方が来館されました。バイオリンやチェロによる演奏でクラシックだけでなくなじみの曲も多く、身近で聴く生の演奏は迫力があるとともに繊細な音を感じ取ることができました。楽員さんの軽妙な解説やお客さんの指揮者体験もあり、日本フィルを身近に感じていただけたと思います。また、演奏会後の交流会は短い時間でしたが、市民とともに歩む日本フィルならではの、楽員さんとお客さんとの交流ができひと味違う楽しさがありました。



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★ 4面(1)
よい子のみんな、図書館に集まれ!

★おはなし会
☆日時 毎週土曜日 
午後2時30分~
☆場所 のぼりがまのお部屋
絵本や紙芝居の読み聞かせ、パネルシアターなど、楽しいおはなしがいっぱいです。

★おはなし012
☆日時 毎週木曜日
11時~、11時30分~
☆場所 のぼりがまのお部屋
絵本や紙芝居、手遊びなど、赤ちゃん向けのおはなし会です。お兄ちゃんお姉ちゃんも、赤ちゃんと一緒にどうぞ。

★対面朗読
☆日時 毎週土曜日 午後3時~
☆場所 対面朗読室
ボランティアグループ「対面朗読 草ひばり」のメンバーの方が、絵本や紙芝居を読んでくれます。



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★ 4面(2)
「池田龍雄-アヴァンギャルドの軌跡」展

 伊万里市出身の画家池田龍雄氏の展覧会が福岡県立美術館で開催されることになりました。市民図書館では、平成14年に講演会・原画展を開催させていただき、その後、原画や書籍を多数当館に寄贈していただいています。今回は、池田氏の活動の集大成となる展覧会です。作品の迫力を肌で感じてみられてはいかがでしょうか。
  ☆期間  2011年1月29日(土)~3月13日(日)
  ☆場所  福岡県立美術館          
     ※観覧料が必要です。



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★ 4面(3)
寄贈 ありがとうございます

・澤田 博
・本石 茂豊
・西山 隆司
・野崎 和成
・坂本 繁憲
・山下 健
・中村 章
・南里 和子
・栗原 祐司
・中曽根 不二
・麻生 良子
・峯尾 アヤ子
・峰松 正輝
・樋口 猛
・高山 美香



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