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としょかん通信 平成25年冬号




題字は 山口 星さん (松浦小 1年)



・「読み聞かせは心育ての魔法の杖」
・九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里 特集 (2~3面)
  シンポジウム/小さな朗読コンサート/分科会 
・九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里 特集 (4面)
    全体講評/歓迎レセプション
・図書館の利用状況(8月・9月分)
★ 1面
「読み聞かせは心育ての魔法の杖」

 家読の応援団長と自認されるノンフィクション作家の柳田邦男先生が『読み聞かせは子育ての魔法の杖』と題して、「九州うちどくネットワークフォーラム」の基調講演を行いました。これで、平成21年度の第1回家読サミット以来、伊万里での講演が4回目となります。
 柳田先生は「インターネット社会の中で心の成長がゆがめられがちな子どもの人格形成に、絵本の読み聞かせが欠かせない」と説き、東京都の荒川区で実践されている『柳田邦男絵本大賞』の事例を紹介されました。この大賞は、絵本を読んでの感動や人に伝えたい絵本の感想、子どもに対しての読み聞かせ体験など、幅広い内容を柳田先生に手紙で送られた内容のコンテストで、今年度で6回目となります。「子どもたちから送られてくる手紙を読むと、絵本を通して子どもたちがこれからの人生を生きていく上で大切なことに気付いていることがよく分かる。」と話され、「絵本について大人は誤解している。絵本はいくつになっても、人生の経験に応じて深い読み取りができる。子どものとき、子育てのとき、老いてからと、人生で意味を持つ。生き方や命を深く考える文学なのです。たかが絵本などと言うのではなく、まずは手に取って1ページずつ言葉と絵が語りかけるものを、しっかり味わってほしい。」と絵本の魅力を伝え、子どもだけでなく大人も絵本を読むことを勧められました。そして、先生自身が翻訳した絵本『ヤクーバとライオン』の2冊を取り上げ、本物の勇気と信頼とは何か、この絵本から感じ取ることができ、この本を使った授業で、子どもたちに討論させたら、いじめグループがなくなっていった、という事例を紹介されました。
 また、読み聞かせについては、「子どもたちの感性はすばらしいものがあり、人の命や心について感じ取る力、他人の苦しみや悲しみを感じ、理解する力がある。生と死をテーマにした絵本を通じ、追体験することで、心が大きく成長する」と語られました。その上で「親子や家族で一緒に並んで絵本を読むことで、同じ時間、感情を共有し、子どもたちはまるで実体験さながらに心に刻まれます。ですからどんな家庭でも『家読』に取組まれるようにしてほしいのです。本が大好きな子どもが育てば、子どもに一財産を身に付けさせたことと同じです。」と幼少期の読書がいかに大切かを訴えました。


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★ 2・3面
九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里 特集

 ●シンポジウム
 テーマ:「うちどく(読書)を通してつながる家庭・学校・地域」

☆コーディネーター
  佐賀新聞社編集局長               富吉 賢太郎

☆シンポジスト(家庭)
  伊万里市老人クラブ連合会長          森戸 吉昭

  シンポジスト(学校)
  武雄市立御船が丘小学校主幹教諭      中島  進

  シンポジスト(地域・図書館)
  福岡県小郡市立図書館長            永利 和則

  シンポジスト(地域・行政)
  鹿児島県出水市教育委員会読書推進課長    盛  正明
 

[シンポジウム要旨]
【森戸】
 黒川町では、町全体の取り組みとして、毎月1日を「家読の日」と決めて、家族みんなで家読することを奨励しており、公民館が毎月第4土曜日に「家読集会」を開催している。家庭では孫娘に読み語りをしているが、おじいちゃん、おばあちゃんの世代ももっと読み語り(読み聞かせ)をするべきではないかと思う。そのことで3世代の絆がより深まるだろう。
【中島】
 学級でおすすめの本を回覧する「リレーうちどく」を昨年6月末に開始した。また、学校と地域をつなぐために、地域への広報や地域の人材を活用した取り組みを行っているが、学校社会が置かれている状況や職員の負担を考慮すれば、学校だけで家読を推進するには荷が重すぎる。行政が家読推進の旗振りをすることで取り組みやすい状況をつくり、図書館がお薦めの本などのサポートで負担を減らすことが大切で、そのような取り組みが、読書によるまちづくりと言えるのではないか。
【永利】
 小郡市では「読書のまちづくり日本一」の実現に向けて家読活動を展開している。モデル校を中心として、保護者対象の講演会の開催、家読ダイアリーの配布と記入、各種お便りでの家読の啓発、家読用図書の整備などを行っている。これにより家読を通じて親子の絆が深まって、心の安定につながっており、家読が子どもを中心として周りの大人を巻き込みながら、学校から家庭、さらには地域へと広がっている。
【盛】
 出水市では平成24年に策定した「第二次子ども読書活動推進計画」で家読の推進を掲げ、「家読20分間運動」の推進、市内保育園、幼稚園での家読の推進とその実施状況の調査を行い、今年度からは市内小中学校での家読の推進と実施状況の調査も行っている。読書は、将来へ向けた人づくりであり、ふるさとづくりのための重要な要素である。子どもと大人が読書を楽しみながら、ふるさとの豊かな未来につなげていければ、との希望を抱いている。
【富吉】
 学びとは誠実さを心や胸に刻むこと。教えとは子どもの未来を語る事。学びと知恵を形にしたのが家読である。絵本を通して言葉を学び、表現力を高め、誠実さを胸に刻んでいく。そして、感想を語り合いながら未来を語り合う。家読は、家族や地域、学校の背骨を創る崇高な活動だと思う。最後に、家読が九州だけでなく、日本中に、さらには世界に広まることを期待して、締めくくりとしたい。


●小さな朗読コンサート
 FMユートピア(秋田県湯沢市)のパーソナリティ、原田真祐美さんによる音楽と朗読のコンサート
 ★演目(朗読した絵本)
  1.『みずいろのマフラー』
  2.『おばあちゃんのたんじょうび』
  3.『ハナミズキのみち』

●分科会
 家読の現場で活躍されている各種団体から、テーマごとに事例発表が行われました。

 ・第一分科会  【学校】
  発表① 伊万里市立波多津小学校
  発表② 広島県熊野町第四小学校

 ・第二分科会 【地域・家庭】
  発表① 江北町にじいろ文庫
  発表② 大分県日田市光岡公民館

 ・第三分科会 【図書館】
  発表① 武雄市図書館
  発表② 伊万里市民図書館

 ・第四分科会 【読み語りボランティア】
  発表① 黒川町おはなしどんぐり
  発表② 鳥栖市マザーリーフ

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★ 4面(1)
全体講評  家読推進プロジェクト  代表 佐川二亮(つぐすけ)

 今日は一日、熱気あふれる会になった。柳田先生の基調講演に始まり、シンポジウム、さらに分科会では熱心な議論が交わされていた。シンポジウムは、九州で家読に先進的に取り組んでおられる方々に登壇していただき、非常に素晴らしい取り組みをされていることを感じた。
 分科会では、学校からの情報提供が啓発になるし、大事だという意見が聞かれた。家読は家庭だけでなく、学校が推進してこそ継続できうるものだと感じている。学校は組織的に取り組めるので、学校が家読活動の拠点になることが大事ではないかと思う。そして、学校の取り組みを家庭、地域、図書館、行政が一体となって学校を応援するという連携が重要で、その連携こそが活動をさらに継続させていく。家読運動というのは学校・家庭・図書館・地域と読書ボランティア・行政という5つのネットワークがしっかりつながっていてこその活動であると言える。
 これからの家読活動が、まず学校の中、さらに学校と家庭や地域、図書館へとネットワークを拡げm将来的には、佐賀県から九州全域、そして日本全国、世界へと拡がっていくことを願っている。今日の「うちどくネットワークフォーラム」は全国で初めて開催された。みなさんの熱意がここに集まり、このネットワークが日本中につながっていけたらと期待する。

●歓迎レセプション 平成25年11月30日(土) 会場:市民図書館ホール
 九州家読ネットワークフォーラムが開催された前日に、遠方から参加の発表者や関係者を歓迎するレセプションが行われました。図書館フレンズいまりと黒川町「おはなしどんぐり」のメンバー、さらに市民の有志がボランティアスタッフとして参加し、30名の参加者は伊万里ならではのレセプションに感動されていました。

「協働のお・も・て・な・し」   図書館フレンズ代表  平松伸子
 この日のレセプションでは、図書館フレンズいまりお得意の「おもてなし」をすることができました。通常、ホテルなどで盛大に行われるようですが、会員の一品持ち寄り、つまり一人ひとりの心のこもった手作りの料理をたくさん並べ、大川内山の各窯元のおかみの会から以前ご寄付いただいたお皿で、各人が思い思いに味わって、皆さまから「こんなおもてなしを受けたのは初めて!」と感激していただきました。また、日頃から伊万里の子ども達に行っている様々なボランティア活動を披露し、フレンズ会員の活動の幅広さに、全国からのお客様は感動のご様子でした。チームワークと図書館との協働をお見せできたひとときでした。


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★ 4面(2)
図書館の利用状況(8月・9月分)

伊万里市民図書館
利用点数(月別)
平成25年8月
(開館:27日)
平成25年9月
(開館:24日)
市民図書館 34,033点 33,125点
自動車図書館(ぶっくん) 5,212点 14,197点
全館合計 39,245点 47,322点


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