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No.341 平成17年9月


『あの世の妻へのラブレター』 『天使のナイフ』
永六輔/著  中央公論新社

 永さんが昌子夫人をがんで亡くされたのは3年前のこと。悲しみを乗り越えて、ようやく笑うことが戻ってきたという著者が、あの世の昌子さんに宛てた手紙から本書は始まります。
 最愛の妻を失い、著者の心に去来するものとは。娘の千絵さんと麻理さん、田原総一朗さんや矢崎泰久さん、谷川俊太郎さんや小室等さんとの対話も収録して、昌子夫人の思い出と共に終末医療や在宅介護の問題を考える一冊です。

 (R.K)
薬丸岳/著  講談社

 妻が殺された一人の男。しかし、やっと捕まった犯人は十三歳の少年達だったため、重い罪に問うことができなかった。
 あれから三年以上の時が過ぎた今、残された男のもとに突然知らされた事件。妻を殺した少年の一人が殺されたという。殺したいほど憎んではいたが、殺してはいない。いったい誰が少年に手をかけたのか?警察の疑いの目が自分に向けられる中、男は真相を探りはじめます。
 第51回 江戸川乱歩賞受賞作品です。

 (A.I)
『花のようなひと』 『ひとりぼっちの世界一周航海記』
佐藤正午/著  岩波書店

 花屋で涙ぐんでいる若い女の人。春から一人暮らしを始めた彼女は、知らない土地で仲良くなった店員さんからスイートピ-の花言葉を聞いて涙を堪えている。実家を出る前にいつもは喧嘩ばかりしているお姉さんが部屋に飾ってくれた花、スイートピー。花言葉は飛び立つ蝶のような花の形から"門出"新しい生活にエールを送ってくれたお姉さんのやさしい心が、読み手にも響いてきます。そんな美しい、やさしい花々をモチーフとした28の作品が牛尾篤さんの淡い色調のレトロなさし絵と相まってできあがった短編集です。

 (K.K)
堀江謙一/著  理論社

 1962年、19フィートのヨット「マーメイド」で太平洋を一人で横断して以来、数多くの航海を重ねてきた著者。65歳となって、さらなるチャレンジの航海がはじまりました。2004年10月1日の「サントリー・マーメイド号」での東回り単独無寄港世界一周の航海です。
 この本は、 航海中に、堀江さんが海の上から送ってきたメッセージを中心にした、リアルタイムの航海記となっています。航海中の堀江さんが衛星電話で交信していた西村一広さんのリポートもあり、航海の様子をより伺えるようになっています。

 (R.K)
『酔って言いたい夜もある』 『心からのごめんなさい
一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦』
角田光代/著 太田出版

 人見知りで、対談など苦手だった著者は、20代半ば過ぎまでインタビューなど「話す」仕事の際には相手に断った上で、お酒を用意してもらっていたといいます。そんな著者に対談集を出さないかという話がきた時、対談を苦手とする著者の理想の形式ということで、4人との対談はレストランや居酒屋で、同じ皿の料理を食べお酒を飲みながらの対談が行われました。その内容は実に普通なのにそれぞれの魅力が十分に伝わってきます。著者曰く、酔っぱらい対談。各方面で活躍する4人30代女性の飾らない会話が楽しめる一冊です。

 (S.S)
品川裕香/著   中央法規

 少年院に入所している少年たちの中には、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥/多動性障害)などの軽度発達障害と似たような兆候を持つ子どもが多い。このため他人とうまくコミュニケーションが取れず、怠けていると思われ、非行の道に足を踏み入れたり、再犯を繰り返すのではないか。このような観点から、少年たちが社会に適応した生活がおくれるよう、様々な試みを行って効果を上げているのが宇治少年院です。これらの試みが少年院に限らず、他の教育現場でも注目されています。

 (M.H)








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