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No.343 平成17年10月


『沼地のある森を抜けて』 『童謡・唱歌・叙情歌 名曲歌碑50選』
梨木 香歩/著 新潮社

 亡くなった叔母の後を継ぎ、先祖代々伝わるぬか床の世話をすることになった久美。ある晩、呻き声をあげるその不気味なぬか床をかき混ぜていると、突然小さな卵があらわれた。孵った卵からあらわれたのはなんと、小学生の時に死んでしまったクラスメイトの少年だった…
 ぬか床に秘められた様々な秘密を辿るうちに、久美は先祖の島へと導かれていく。変容し増殖を続けながら、連綿と息づいていく命と、それに込められた想いたちを描いた物語です。

 (Y.K)
鹿島 岳水/著  文芸社

 誰でもいつの間にか覚えて口ずさんでいる童謡・唱歌がひとつはあるのではないでしょうか?
 著者は15年の歳月をかけ、全国の歌碑を300基ほど巡り、名曲といわれている歌のほとんどに碑があることに驚いています。
 本書には、近県の歌碑では柳川市の「からたちの花」、佐世保市の「美しき天然」、竹田市の「荒城の月」などの碑が、写真付きで紹介されています。
 頁をめくっていくだけでも楽しいのですが、思い出深い歌の碑を訪れる旅などは最高なのではないでしょうか。

 (K.K)
『ツキコの月』 『書きたい、書けない、「書く」の壁』
伊集院 静/著  角川書店

 日本人移民の子として生まれ育ち、幼くして母を亡くしたツキコ。月のように輝く女性になってほしいと言った父も突然遺体で見つかりました。術もなく、ただ逞しく生きたツキコはいつしか女優となり舞台に立っていました。
 タンゴが響く中で、父の言葉を胸にツキコという一人の女優の生きる姿を綴った伊集院静さんの新作です。

 (T.M)
丸谷 才一 ほか/著  ゆまに書房

 作家、歌人、書道家など言葉に深く関わる30人が、日本語についてあらためて考え、語った一冊。
 たとえば数学者藤原正彦氏は、情報を伝達する上で読む、書く、聞くはたいへん重要なことで、語彙を身につけることは知的活動の基礎であると語っている。
 日本語は和漢洋の三要素が混ざった複雑な言葉である。しかしだからこそ語源をたどるおもしろさや、言葉遊びの楽しさがあるのかもしれない。

 (M.H)
『東西南僕』 『暗証番号はなぜ4桁なのか?
 セキュリティを本質から理解する』
小玉節郎/著  柏艪舎

 お茶と聞くと流派や作法などを考えてしまいますが、茶筅に目を向けたことがあるでしょうか?本来茶筅は使い捨てのものだそうで、たくさんの種類があるのだそう…。などなどお茶の歴史があると同じだけ茶筅の歴史もあるのです。
 著者が取材した茶筅作りの様子を読んでいると、茶筅に広がる世界を垣間見ることができます。他にも一子相伝、窯元十軒を守りつづけてきた大分県小鹿田焼きの窯元の話や、昔金魚売りをしていた方の裏話など、ちょっとした雑学から奥の深い話までが盛りだくさんです。皆さんも著者が見聞きした知識を分けてもらってはいかがでしょうか。

 (S.S)
岡嶋 裕史/著  光文社

 情報化により世の中がどんどん便利になっている反面『情報漏洩』の恐怖と被害が大きくなっています。多くの人が持っているキャッシュカード。なぜ暗証番号は4桁なのか。そして、そもそも暗証番号とは何なのかが解説されています。
 また、住基ネットの話や個人情報保護法の話も含め、セキュリティの基本的な問題点や考え方にも触れられています。専門用語をなるべく使わず、豊富な具体例を用い、コンピューターやセキュリティに興味のない人でも面白く読めるのではないでしょうか。「最近、銀行のカードが危ないらしいがどうなっているのか?」という疑問に答えてくれる一冊です。

 (R.K)








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