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No.347 平成17年12月
『ふふふ』 『78 ナナハチ』
井上 ひさし/著  講談社

 軽妙洒脱な文章で、世の中の事を"ふふふ"と笑って語る井上さん。けれど、その中には笑ってすませられない事も含まれている。そして後から振り返ると、あの時が自分の人生の分かれ道だった、と思うような出来事も。
 著者は中学3年生のある日の出来事から、万引きが実は緩慢な殺人行為であることを教えられる。同時に人生の師は至る所にいる事にも気づかされる。「小説現代」に連載されたエッセイの単行本化です。

 (M.H)
吉田 篤弘/著  小学館

 その昔、もうずっと昔のこと、世界は78回転で回っていた…。LPの30センチでも、シングルの17センチでもない78回転のSP盤に魅せられたひとりの少年。ある日、彼は終点がどこかを探すために、錆びたレールを辿る旅に出た。
 13の短篇が、やがてひとつの世界へと連鎖していく。ゆるやかに流れる映像のような、ちょっと不思議な連作短編集です。

 (Y.K)
『親にも言わせろ!「教育改革」』 『親が子供になっていく』
田中 喜美子/著 教育史料出版会

 主婦の投稿誌の編集をしている著者は、たくさんの母親の声をまとめて「親」はいつも教育を論じる場から疎外されていると述べています。今ゆとり教育へと進んでいる教育改革の決定の場にも「親」の声はなかなか届かず、教育現場では意見を言うことも難しい雰囲気があります。
 世界でいちばん大切なわが子が、師と仰ぐ教師と出会い、「ものを考える人間」になってくれること-親たちが心の底から望んでいるのはただそれだけなのです。学校不信に陥る前に国はしっかりと教育改革を行ってほしいと提言しています。

 (K.K)
森 久美子/著  佐賀新聞社

 平成14年に"汗かきべそかき恥じかき日記「介護体験記」"を出版し、大反響を得て、もっとその実態をしってほしいという著者の願いからできたのが本書。
 老人性認知症の母を介護して11年。娘の名も忘れ、日常生活も一人ではできないほど認知度が低下していく母の姿、そしてその介護に追われる日々が綴られている。
 今や認知症は様々な研究も為され、治療法や対処法などの情報も多くあるが、介護者や認知症をかかえる家族の声が聞こえてくることは少ない。
 この本は単なる体験記ではなく、認知症介護者へのエールでもあり、認知症に苦しむ人を理解するうえでもご一読いただきたい。

 (Y.O)
『おまかせハウスの人々』 『食品工場のしくみ』
菅浩江/著  講談社

 時は幼児型ロボット里親制度がある時代。ロボットは人工知能を高めるために里親制度として一年間を人間に育てられます。外見は人間と全く変わらず、ただ違うのは表情が何一つ変わらないことと、一年後には親元を離れること。
 果たしてロボットと人間の親子の間に生まれる感情があるのでしょうか?
 また、人の表情や声色からその人の本音を知ることが出来るダミーフェイスや、治療のために体内に埋め込み働きつづけるナノマシンなど、近未来の日常を描いた短編集です。

 (S.S)
河岸 宏和/著  同文舘出版

 鶏インフルエンザやBSE感染牛の発見、雪印食中毒事件など食品事故が発生し、ここ数年、食品の安全性が厳しく問われるようになってきています。
 この本は、毎日食べるものをより安心して食べることができるようにと、著者がさまざまな食品工場で働いた経験をもとに書かれたものです。
 食品がどのようにつくられているのか、また、どのように食品工場の管理がなされているのかなどを知って、私たち消費者が食の安全について理解を深めたいものです。

 (R.K)








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