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No.363 平成18年8月
『ドライブイン蒲生』 『難儀でござる』
伊藤たかみ/著  河出書房新社

 幼稚園でトランプをしていた時、スペードとハートを黒桃と赤桃と言ってみんなに笑われた時、ろくな家の子じゃないと初めて気がついた。父親の手には刺青があり、姉は本当の父親は他にいると信じていた。酔ってばかりいた父親が死に、姉は母親になった。おれは姪っ子に八九三と呼ばれている… そんなおれと姉の「かすけた」血の物語。
 第135回芥川賞受賞作家が贈る初めての短編集です。

 (S・S)
岩井三四二/著  光文社

 先帝の十三回忌の法事に二百貫文は入り用だとわかった公家・山科言継。しかし先立つものがない。公家たちの暮しはひどく、都落ちする者が続出していた。その中での二百貫文、言継は今、日本で最も強く富んでいる信長に金を無心する役となった。 
 歴史の陰で様々な事件に振回されていく男たちを描いた一冊。

 (T・M)
『運命の鎖』 『ボローニャの大実験―都市を創る市民力』
北川歩実/著   東京創元社

 人工授精によって生まれた私。しかしその父の遺伝子には、優れた才能を発揮すると同時に、遺伝病が発症し死に至る可能性があった。
  行方不明の父を追って、自分に遺伝病が受け継がれているか見定めようとする主人公。そこへ同じ運命を背負う兄弟達の情報が、次々ともたらされる。父の失踪から二十年、人生の第一の岐路に差し掛かった彼等の今後はどうなるのか。
 遺伝子の鎖のようにつながる、連作短編ミステリー集。

 (M・H)
星野まりこ/著 三推社・講談社

 イタリア半島の付け根部分にある人口37万人のボローニャ市。ヨーロッパで一番早く大学が設立された土地柄からも覗えるように、自分達の街を住みやすくしようとする市民の力が行政と共に動き創造都市を築き上げています。数ある協同組合の中には、なんとホームレスの組合まで組織されています。
 そんなボローニャ市に魅せられた作家の井上ひさし氏と著者が、様々な人々に出会い、行政改革、地方分権、教育などの難問を抱える日本再生のカギとなるであろう「ボローニャシステム」を検証しています。

 (K・K)
『絵本があってよかったな』 『月に行こうか、火星に行くか』
内田麟太郎/著   架空社

 絵本作家や詩人として活躍中の著者・内田麟太郎氏、初の自伝エッセイです。
 生母を亡くし、複雑な環境の中で過ごした大牟田での少年時代のことから、詩を作ること、絵を描くことになったきっかけ、また、長新太さんとの奇跡の絵本作りや、絵本「ともだちや」の誕生秘話などが綴られています。
 愉快な絵本の創作の裏には、私たちがこれまで窺い知ることのできなかった泣き虫のリンタロウくんがいたのです。
 一人の作家の生い立ちを、著者が描いた絵本と併せて読んでみませんか。

 (R・K)
五代富文/著   丸善株式会社

 火星の地表の様子がパノラマで発表されたり、惑星の数が減ったりと常に話題に事欠かない宇宙。そんな無限の空間がいかに開拓されてきたかを記した本です。
 米ソの宇宙開発の話から始まり、映画や万博等、自分達が身近に宇宙を感じられた出来事なども書かれていて共感を持てます。今も常に進歩する宇宙開発の、始まりから今日までが判りやすく書かれていて、宇宙旅行を夢見ている人や、月に土地を買ってしまったといった宇宙に夢を馳せる方の胸を熱くさせる一冊です。

 (N・Y)

 





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