『アメリカよ、美しく年をとれ』 |
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『藤沢周平 父の周辺』 |
猿谷要/著 岩波新書
1923年生まれの著者は、戦争を期にアメリカに興味を持ち、以来半世紀以上アメリカという国を見つめてきた。かつてアメリカは、自由の国として世界から愛されていた。しかし徐々に右傾化し、現在は世界から嫌われるようになっている。
過去の歴史を振り返ると、16世紀に無敵艦隊を誇ったスペインも、19世紀に七つの海を制したイギリスもやがては衰退している。今、世界の覇者として君臨するアメリカもいずれは頂点から下降する時期がくるのだろう。そのとき美しく初老の時期を迎えて欲しいと、著者は願っている。
(M・H) |
遠藤展子/著 文藝春秋
時代小説の名手、藤沢周平。何気ない日々を大切に 慎ましく暮らす人々の物語が人気です。 その偉大な作家を父に育った著者が、藤沢周平としてではなく、小菅留治との思い出を語ったものです。 映画、音楽鑑賞、散歩好きの父。のほほんと生きる娘には小説は書けないとも。のほほんと生きて来られなかった父は普通が一番と言い続けました。
普通に暮らすことの大切さを教えてくれる一冊です。
(T・M) |
『マイノリティの拳』 |
『ちょい太でだいじょうぶ』 |
林壮一/著 新潮社
アメリカで絶大な人気を誇る重量級ボクシング。その輝かしい地位には常に黒人ボクサーの顔が見えます。 頂点に立った黒人ボクサーは、羨望を受ける地位に達してからも常に自分と、そして周囲に対して挑み続けなければなりませんでした。
世界最強とも呼ばれながらもマイノリティ(少数派)であることしか出来なかった彼等の、リングの中と外での戦いの歴史です。
(N・Y) |
鎌田實/著 集英社
テレビや雑誌などで最近特集されることが多い「メタボリックシンドローム」。 医者である著者が、ちょい太で「内臓脂肪症候群」の疑いがある自分自身を実験台として、健康で長生きする方法を詳しく、おもしろく説いています。 「ぴんぴんころり」の健康スタイルをめざしている著者がすすめる最強健康本です。
(K・K) |
『私の老年前夜』 |
『彼女のこんだて帖』 |
長塚京三/著 筑摩書房
若いころは初心に「返った」。心機一転して初心に立ち返る。いまの私は、初心に「還る」。 半世紀分の時空間を遡ってあのときの初心、このときの初心の許へと還りつく・・・・・。 渋い演技の著者が“老年”になる一歩手前のいまを描き出しています。 テレビや舞台で活躍している時とは、別の顔をのぞかせてくれます。
前作の「僕の俳優修行」と合わせて、「ひとりでも多く、いい役者に輩出してもらいたい。」という著者の気持ちがあふれています。
(Y・M) |
角田光代/著 ベターホーム出版局
直木賞等数多くの受賞歴を持つ気鋭の作家、角田光代。彼女の最新作は、これまでとは一風変わったスタイルで「料理」をキーワードにした短編集です。 無骨な男が亡き妻を想いながら作る豚柳川、働きながらひとり子育てをした母が思わず涙したかぼちゃの宝蒸しなど、著者は小説の中に料理を鮮やかに描いています。さらに、その料理のレシピも掲載されており、2度味わうことができる作品となっています。
実は著者の亡くなられたお母さんは料理教室の受講生だったとのこと。お母さんの思い出話も綴られていて、感動的な話は涙を誘います。
(R・K) |