> トップページ > おすすめコンテンツ (おとな向け) > おすすめの本 > No.374 平成19年2月






No.374 平成19年2月
『どくとるマンボウ回想記』 『アナンシの血脈』
北杜夫/著  日本経済新聞社

 昭和2年生まれの「どくとるマンボウ」こと北杜夫さん。躁とウツを繰り返すことで有名な北氏は、もう長くは生きられないと、今から5年前に「世捨人」として年賀状を出したくらいでした。体力が弱ってきた自分を思いながら本書では、出生の事実から学生時代、遠藤周作さんや埴谷雄高さんなどの先輩、友人たちとのこと、父と母のこと、歳晩に思うこと、作品についてなど、著者のすべてが描かれています。 
 「わが人生、やはり幸せと言ってよかろう」ユーモアあふれる文章の中に、やさしさと暖かさがあふれています。

 (K・K)
ニール・ゲイマン/著  角川書店

 けして有能ではないけれど、真面目で彼女思いのファット・チャーリー。彼女との結婚を夢見ながら暮らしていた矢先、父親の死の知らせが届きます。そこで、驚愕の事実が発覚。父親が神であったこと、自分とはまるで正反対の兄弟がいること。やがて、兄弟のスパイダーが現れ、彼女を奪われるし、挙句の果てに横領の濡れ衣まで着せられる羽目に。お先真っ暗のファット・チャーリーに希望の光は射すのでしょうか…。
 アフリカの民話や神話に登場する蜘蛛のアナンシを題材に、ホラーあり、ミステリーあり、ユーモアありの物語です。

 (Y・O)
『発達障害だって大丈夫―自閉症の子を育てる幸せ―』 『私のスフレ』
堀田あけみ/著  河出書房新社

 「1980 アイコ十六歳」で文藝賞を受賞し、その後も作家として活躍し続けている著者。彼女の作品の多くは恋愛や青春を綴ったものですが、この本は3人の子を持つ母親の視点から書かれています。
 3人のうち、1人は自閉症。その子が自閉症と診断されるまでの葛藤やその後の家族の変化、そして周囲の人に理解してもらうための努力など、著者が体験してきたことが事細かに記されています。
 子育てに悩むすべてのお母さんたちへのメッセージがぎっしり詰まっています。

 (R・K)
林真理子/著  マガジンハウス

 学生時代、いろんな事に敏感で多感だったあの頃。実はうらやましかった大人びた同級生や女友達との思い出。まだ見ぬ恋人に思いを寄せていた自意識過剰な女の子…。今著者が振り返るあの頃とは?
 スポーツ部のスターの応援のため、彼の名前を何度も叫んだ事や、大学の先輩に優しくされる同級生を見て悲しくなり泣きながらその場を去った事など、甘酸っぱい記憶が甦る追憶のエッセイ集。
 学生時代に書いた文集や日記がいくつか載っており、実際に著者の学生時代に触れることもできる作品です。

 (S・S)
『白洲次郎の日本国憲法』 『野洲スタイル』
鶴見紘/著  光文社

 白洲次郎は戦後の名宰相、吉田茂の〈側近〉といわれ、「白洲300人力」と例えられた人物である。白洲家は代々儒家の家系で、父文平は綿の貿易商として巨万の富を得た。こうした背景から彼は17歳でイギリスのケンブリッジ大学に留学。そこで英国流のプリンシプル、すなわち自分の信じるところの原則に忠実であろうとする精神を身につけた。
 日本国憲法の制定、講和条約の締結など決定的な場面で、白洲の果たした役割とはなんだったのか。終始政治の裏側で、黒子に徹した彼の目指した日本の姿とは。
 憲法改正が議論される今こそ、読まれるべき本である。

 (M・H)
山本佳司/著  角川書店

 高校サッカーの本番は冬。今年も寒い冬を熱くさせてくれるような大会が行われました。そんな高校サッカー界に近年急浮上してきた滋賀県立野洲高校。名門という訳でもない定員割れが続く高校に赴任した監督は、高い目標を持って高校サッカーへ挑戦を始めました。
 「世界的な選手を育てる」という目標を掲げ、創意工夫の選手育成でついに高校選手権優勝を勝ち取った野洲高校。選手一人一人の個性を尊重し、その結果としての素晴らしいチームプレイを生み出す。サッカーだけでなく、自分や人を成長させるためのお手本としても読んでみてほしい一冊です。

 (N・Y)

 





- copyright(c) Imari Public Library Al Right Reseaved. -