『うつつ・うつら』 |
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『95歳からの勇気ある生き方』 |
赤染晶子/著 文藝春秋
初子さんはあんパンとクリームパンしか売っていないパン屋に下宿している。あんパンとクリームパンしか売っていないのに、たまに中身を間違えて売ってしまう店主。交換はひとくちまで。そんな店に下宿し、初子さんは洋裁をして生計を立てている。いつもひょうたん柄の割烹着を着て、必死にミシンを踏んでいる初子さん。
汲み取り式の便所が怖くてお尻が拭けない娘や、スカートを依頼した新婚夫婦の美根子、毎日3時にあんパンを買いにくるおじいさん… など。のんきな人々が集まる商店街の日々が、作者独特の世界で描かれた作品です。
(S・S) |
日野原重明/著 朝日新聞社
この本は朝日新聞の土曜版に掲載されていたエッセイを集めたものです。著者が感じたこと、考えていることについて様々なテーマで語られています。
年を取るごとに忙しくなってきている、と語る著者。しかしその多忙を支える力も年と共に培ってきたものであるようです。本著でのテーマの多彩さを見ると、著者が沢山の事に興味を抱いていることがわかり、文章からは年齢では計り知れない生きる力を感じます。
「勇気ある生き方」が優しい言葉で語られている一冊です。
(N・Y) |
『ABCDJ とびきりの友情について語ろう』 |
『インド式秒算術』 |
ボブ・グリーン/著 NHK出版
少年時代からの友人であるアレン、ボブ、チャック、ダン、ジャックの5人組〈ABCDJ〉。
57歳になったある日、ジャックは自宅で倒れ、手のほどこしようがないほどの癌細胞に侵されていることが明らかに。彼の残された時間をできる限り共に過ごそうと友人たちは故郷へと集まり、子どもの頃の思い出を回想しつつ新たな思い出をつくっていく。
友人の死を正面から冷静に受け止める仲間たちの厚い友情にあふれた一冊。
(R・K) |
プラディープ・クマール/著
日本実業出版社
2桁の2乗の計算が暗算でできますか。小学校の頃から、当然のように紙に書いていた計算方法が、何をしていたのだろうと思える魔法のような計算術―ヴェーダ数学。あっという間に、難解な計算の答えが出てきます。
かけ算で納得したら、わり算、平方根、立方根にも挑戦してみてください。本書の魔法に掛かると手放せない一冊になってしまいます。
(K・K) |
『八日目の蝉』 |
『夜は一緒に散歩しよ』 |
角田光代/著 中央公論新社
好きだった男の生後6ヶ月の子どもを誘拐した私。生まれてくるはずだった子どもを思い愛情を注ぐ私。それは大切な娘との逃避行の始まりでした。逃げて逃げてその先に待つものは何だったのでしょうか。
誘拐犯と誘拐された子ども、ふたりの立場から描いた家族という形を考える長編サスペンスです。
(T・M) |
黒史郎/著 メディアファクトリー
妻を亡くし、娘と二人暮らしになった卓郎。その娘が母の死後奇妙な行動をとるようになった。
「青い顔の女」の顔を描き、その絵をママと呼ぶ娘。娘の奇妙な行動はそれだけでは終わらず夜の散歩にこだわるようにも。娘の身に忍び寄ってくる何か・・・。
切なさと恐怖が織り成す物語はこれからの季節、ちょっぴり涼むのによい一冊です。
(Y・K) |