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No.383 平成19年6月
『メタボラ』 『灰から生れる宝物のはなし』
桐野夏生/著  朝日新聞社

 深い森から逃げ出した僕は、昭光と名乗る男に出会い、名前を告げようとして自分が記憶を失っている事に気が付いた。自分が誰なのかも分からない僕に、昭光は警戒しながらも、ギンジという名前を付けてくれる。なぜ僕は記憶を失ったのか?ギンジとして生きることを決めた僕は、昭光と共に新しい記憶で自分を塗り替えようと「自分殺し」の旅に出る…。

 (S・S)
坂上越朗・川上行雄/著 三信図書

 ゴミ焼却灰から夢のような物質「人工ゼオライト」を作り出す研究と開発が実現されつつあります。人工ゼオライトには、水質浄化、土地の改良、汚れた油をきれいにする、生ゴミを堆肥化するなど、数多くの効用が期待されています。
 灰から宝物を生み出す環境再生プロジェクト、地球環境を考えざるをえなくなっている私たちの生活に、これからきっと広がりを見せてくるであろうゼオライトについての解説書です。

 (K・K)
『6時間後に君は死ぬ』 『ナイトメア―心の迷路の物語』
高野和明/著   講談社

 街で出会った見知らぬ青年に、そう予言された美緒。青年を信じた美緒は、彼と二人で自分を殺しそうな人物の元へと向かった。しかしこのままだと、6時間後に一緒にいるのはこの青年である。信じられるのは誰なのか?運命を変えることはできるのか?未来のビジョンが見えるという青年を通した連作短編集です。

 (S・S)
小倉千加子/著  岩波書店

 人とうまくコミュニケーションをとれない女の子「ナイトメア」。その彼女から突然届いた手紙からこの物語は始まる。兄から罵倒され、兄に気を遣う両親。家族の中で居場所を見つけることができなかった彼女は図書館にいることで正気を保っていた。現代社会にも通じる心の闇を「私」が解き明かしていきます。心理学者である著者ならではの一冊です。

 (Y・K)
『吾輩のご主人 天才は猫につくられる』 『「いのちの授業」をもう一度』
原口緑郎/著  河出書房新社

 昔から「霊力」を持つ存在と考えられてきた自由奔放な猫たち。そんな猫を愛する著者は月刊「ねこ新聞」の編集に携わり、その中で「愛猫家列伝」と題した猫と人との物語を執筆しています。その記事が評判となり一冊にまとめられたのが本書です。
 民俗学者の南方熊楠が貧しい食事を猫と分け合って暮らしていたというエピソードや作家の稲垣足穂が猫と過ごしていた日常の様子など。歴史上の有名人たちが猫とどう接していたのか、また彼らにとって猫がどんな存在だったのかが記されています。天才と言われる人たちの愛猫家ぶりを知ることができる一冊です。

 (R・K)
山田泉/著  高文研

 “山ちゃん”こと山田泉さんは養護教諭として多くの子どもたちと向き合ってきました。教室ではなく保健室に登校する子、休み時間のたびに保健室にやってくる子など多感な時期の子どもたちの話を聞いたり、時には意見したり。そんな中で、ガンの宣告を受けた著者は、その体験から子どもたちに生きることについて考えてほしいと「いのちの授業」を実践。やがて子どもたちと一緒に人権学習にも取り組みました。
 ガンの再発を乗り越え、復職したものの体力の限界を感じて今年3月に退職。山あり、谷ありの11年間で綴った保健室日記などをもとにしてまとめられた1冊です。山ちゃんと彼女を取り巻く様々な人々と触れ合いは、私たちにも元気を与えてくれます。

 (Y・O)

 





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