『人間の関係』 |
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『里山の一日 冬の日』 |
五木寛之/著 ポプラ社
人生には様々な時期がある。作者は40代から50代の頃、『喜びノート』によって鬱から立ち直った。60代の更年期には、逆に『悲しみノート』によって心が救われた。そして70歳を過ぎた現在、「あんがとノート」を毎日続けて書いたという。そんな心のありようも、やはり人と人との関係からおこるもの。『生きるヒント』を記した著者が、その先に見つけた答えとは…。
(M・H) |
今森光彦/著 アリス館
だれもいない冬の田園は、青空も木々も、白い雲も、みんなひとりじめです。
琵琶湖をのぞむ田園風景の中で、今森さんは常に身近な自然を撮影してきました。ほとんどの人が懐かしいと感じる里山の風景は、今森さんには未来の風景に映っているのです。
夏の一日から始まった里山の写真集が届けてくれる清らかな冬のにおいです。
(T・M) |
『湯川秀樹日記ー昭和九年:中間子論への道』 |
『スープのさめない距離』 |
小沢通二/編 朝日新聞社
1949(昭和24)年に、日本人として初めてノーベル賞を受賞した物理学者湯川秀樹氏の日記が、2007年の生誕100年を機に公開されました。
昭和9年1月1日~昭和10年2月5日までのほぼ毎日の出来事が日記には綴られています。大阪帝国大学理学部講師として「中間子論」を研究している仕事のことや、次男誕生の年でもあり、家庭でのやさしい父親の姿もうかがえます。
「昭和九年 一年間のつもり。」のなかには、「間食を避けること。」「失敗に打ち勝つこと。」「常に積極的な理解、即ち創造に進む様心掛けること。」などの言葉があり、湯川氏の真摯な生活ぶりが伝わってきます。
(K・K) |
道浦俊彦/著 小学館
「感謝感激雨あられ」、「亭主元気で留守がいい」など、辞書には載っていないか、載っていても詳しい背景などについては記述されていない言い回しを取り上げ、分かりやすく解説されているこの本。普段何気なく使っている言葉が、どのようにして生まれたのか、そしてその言葉が持つ意外なエピソードを知ることができます。
標語やキャッチコピー、文学作品で使用されている言葉や政治家の言葉など、様々なジャンルの言い回しについて、楽しく学ぶことができる一冊です。
(R・K) |
『仏果を得ず』 |
『「震度6強」が原発を襲った』 |
三浦しをん/著 双葉社
300年前から続く人形浄瑠璃「文楽」の世界に飛び込んだ健は、突然謎の多い三味線引きの兎一兄さんと組むことになった。口数の少ない兎一兄さんを初めは嫌がっていた健だが、稽古で、芸に対する思いや、演目の解釈などを語り合ううちに互いに息が合ってくる。そんな中、健は義太夫節を教えていた女の子の母親を好きになってしまう。
恋にも文楽にも常に一生懸命な若い太夫の青春物語です。
(S・S) |
朝日新聞取材班/著 朝日新聞社
2007年7月、新潟県柏崎市で地震による原発事故が発生。
本書は朝日新聞取材班による取材を元に事故当時の様子、その後の東電、経産省の対応、原発の実態を書いています。
想定外の揺れと甚大な影響、地震大国日本における原子力発電の安全性が問われています。
(Y・K) |