『アカペラ』
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『いのちの対話 死に方上手』
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山本 文緒/著 新潮社
ちょっとぼけ始めたじっちゃんと暮らす、健気な中学生。父の死で20年ぶりに故郷に帰った、ダメな中年男。病弱な弟と寄り添って暮らす50歳の独身女。きらきらした夢のある人生とは、およそかけ離れた生活を送る主人公たち。
ありきたりの生活からは、ちょっとはみだした彼らの日常、その心の揺れを描く著者の筆致は、温かく優しい。3つの作品で構成された、6年ぶり待望の小説集。
(M・H)
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鎌田 實 ほか/著 岩波書店
人間誰もが避けて通ることはできない死をテーマにした対談集。
そもそも、死に方に「上手」「下手」があるのか。人間はどう生き、どう死ぬべきなのか。はたしてその答えは?
生きている以上、必ず訪れる死。「死なんて、縁起でもない」と言わず、生きてきてよかったと思える死を迎えるために、自分なりの理想の死に方を考えてみてはいかがでしょうか。
(T・Y)
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『名ばかり管理職』
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『原爆で死んだ米兵秘史』 |
NHK「名ばかり管理職」取材班/著
日本放送出版協会
「働くこととは何か?」「管理職とは何か?」
この本は、意識不明で倒れた「元管理職」男性の事件をきっかけに、「管理職」と言われる人々の実態と苦悩を追い続けたNHKスペシャル「名ばかり管理職」の取材が書籍化されたものである。
経営生き残りをかけた企業が選んだ先のあるもの。それは「管理職」にさせられた人々の過酷な労働だった…。
果たして彼らに明るい未来はあるのか?法は!行政は!企業は!敵か見方か?
「働くこと」への見直しが問われる問題である。
(T・K)
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森 重昭/著 光人社
国民学校3年の時に広島で被爆した著者。命は助かったものの、被災地の光景は幼心に地獄絵図として刻まれた。
四十歳を前にした時、地元・己斐の被爆調査を開始。その中で、自国の新兵器によって被爆死した米兵捕虜たちの存在を知り、ひっそりと死んでいった彼らの無念を後世に伝えたいという思いに駆られる。
残された様々の資料や多くの関係者からの情報をもとに、約20年に及ぶ調査の末、数々の衝撃的真実が明らかとなったのである。
(Y・O)
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『親方はつらいよ』 |
『国語辞典の名語釈』 |
高砂 浦五郎/著 文藝春秋
この本は、第六十八代横綱で、朝青龍を育てた高砂部屋の継承者・高砂浦五郎氏が、作家の阿川佐和子氏と対談したことをきっかけに出版されました。
二十二歳で角界入りし、以来三十年にわたって大相撲界に身をおいてきた著者が、弟子に対する思いや親方の心得、角界の流儀について述べています。
また、記憶に新しい朝青龍問題や時津風部屋新弟子急死事件についても、著者の視点からありのままの思いが綴られています。
(S・I)
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武藤 康史/著 筑摩書房
国語辞典で言葉を調べることはあっても、国語辞典を読むことは少ないのではないでしょうか。
本書では、明治期から現在まで出版された国語辞典の名語釈の変遷と紹介をしています。
明治期、ピアノ・バイオリン・セロの音色はどう表現されていたのか。
「言海」での‘猫’の説明で「窃盗ノ性アリ」とした箇所に、芥川竜之介がエッセイで批評した話など面白く解説しています。
(K・K)
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