『ニセ札』
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『がんこなハマーシュタイン』
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木村 祐一/著 ポプラ社
舞台は戦後間もない山奥の小さな村。
村の写真屋と、紙すき職人と、村一番の顔役の三 人を呼び出した伸吾はニセ札作りを持ちかけます。始めは驚いた三人でしたが、「ニセ札を作ることは悪い事ではない。日本だって戦争中、中国のニセ札を作っていた。ニセ札を作っても誰も困らない。村が潤って幸せになる」という理屈に意見はまとまりました。村人から尊敬されている小学校の女教頭先生も仲間に入りニセ札作りが始まります。
実話をもとにした木村祐一監督映画の原作です。
(N・K)
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ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー/著 晶文社
第二次世界大戦中、ドイツ国内での圧倒的な権力を手に入れていたヒトラーに拒否の姿勢を見せる人間がいました。当時からヒトラーを認めていなかった人も沢山いたのでしょうが、今回紹介されている人物はなんとドイツ陸軍総司令官。
ドイツ陸軍のトップにまで上り詰めた彼はどうやってヒトラーの支配の中生きることが出来たのか。ハマーシュタインとその家族に焦点を当てて語られている伝記です。
(N・Y)
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『追跡!私の「ごみ」 捨てられたモノはどこへ行くのか?』
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『菊池寛急逝の夜』 |
エリザベス・ロイト/著
日本放送出版協会
著者のごみのゆくえを追う旅は、サンドイッチの空箱、パンのビニール袋、夕飯の残り、痛んだパン…など、まず自分のごみ箱の中身を全て書き出すことから。次はごみ回収作業に立会い、自分が出したごみが回収されるのを見届け、さらにはごみの埋立地問題、汚水のゆくえなど、ごみ問題を目の当たりにする旅は続きます。
知らないことが多すぎるごみのゆくえ。その中で普段いかに自分がごみを出しているか、また危険と隣りあわせである回収作業の大変さなど、改めて気づかされる一冊です。
(S・S)
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菊池 夏樹/著 白水社
『恩讐の彼方に』や『父帰る』など傑作を著し、「文豪」と呼ばれた大作家として知られる菊池寛。彼は作家の顔だけでなく、文藝春秋の創設者であり経営者、「芥川賞」「直木賞」創設者、映画会社「大映」の初代社長など、多彩な顔を持っていた。その一方で子煩悩な父の姿として家族の記憶には残っているという。
本書は、近親者からの証言を元に、孫である著者が、菊池寛の59年の生涯を振り返り、その人間像に迫っている。
(Y・O)
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『心をゆさぶる平和へのメッセージ -なぜ、村上春樹はエルサレム賞を受賞したのか?-』 |
『えらんだお産』 |
大胡田若葉・早川誓子/編集
ゴマブックス
日本は幸い60年以上も戦争をしていません。しかし、世界中の様々な地域や国々で、今も戦争は繰り返されています。その中の一つに、パレスチナ自治区ガザ地区があり、イスラエルとパレスチナの争いが続いています。
2009年2月、作家村上春樹氏がこのイスラエルで行ったエルサレム賞受賞のスピーチは、平和へのメッセージとして、多くの人の心を打ちました。
本書には他に二つのスピーチが掲載されていますが、いずれも戦争や暴力、貧困や環境破壊といった問題に対して、私たちがどのように行動すべきか、問いかけています。
(M・H)
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大葉ナナコ/著 河出書房新社
一般的にお産といえば分娩台の上で「出される」イメージが定着しています。
日本では、1950年には95%だった自宅出産が、10年後には50%、その後約60年の間に医学や設備が素晴らしい発展を遂げた一方、「すべてのお産を医療現場で」という傾向が強まりました。
では「お産をえらぶ」「私らしいお産」とは?
42人のお産体験記は十人十色ですが、悩み、考え、自分で決めたという点で共通しています。
私たちはいつも、様々なことをえらびながら生きています。お産に関しても陣痛前、陣痛中、分娩中、産後と選べることは沢山。自分に与えられた環境の中でどうありたいのか。お産に怖いイメージを持っている方に是非読んで頂きたい一冊です。
(S・I)
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