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No.458 平成22年10月
 
  
『明日の風』
『これだけは知っておきたいドラッカー』
梁 石日/著  光文社

 在日韓国人作家梁石日の小説『血と骨』は、ビートたけし主演で映画にもなり話題を呼びました。
戦中戦後の大阪を舞台に、並外れた腕力と凶暴な性格で家族にも心を許さず、孤独に生き抜いた男の生き様を描いた小説です。
 この『明日の風』は、『血と骨』の世界を主人公の息子である少年の目線から語る自伝的小説です。幼い頃は父親の暴力におびえながらも頼もしく感じていましたが、成長とともに反発を感じるようになり、父と息子の確執は深まっていきます。過酷な環境の中ひたむきに生きる少年ですが、悲壮感もなく、時にはユーモアを感じる文章で描いています。

 (N・K)

牛越 博文/著  文藝春秋

 ドラッカーは、現在、日本で最も有名な経済学者の一人です。しかし、著者はドラッカーの主張は複雑であるため、ドラッカーの考え方を本当に理解しようと思えば、彼が書いた著書や経済学に関する知識を身につけないと不可能だと主張します。
 本書はドラッカーの全著書を原書で読破した牛越氏が、ドラッカーの考え方を理解するために必要な「イノベーション」「マネジメント」「経営者への5つの質問」を大きな柱として、分かりやすく解説してあります。ビジネスマンだけでなく、学生にもお勧めの1冊です。

 (S・Y)

『ゴッホを旅する』
『往復書簡』
南川 三治郎/写真 世界文化社

 没後120年を迎えるフィンセント・ファン・ゴッホ。日本でも記念のゴッホ展が開催されます。本書はゴッホの生涯を絵画と合わせて読み進めるようになっています。
 現在ではゴッホの名は世界中が知るところではありますが、生前は不遇と言っていい生活を送っていたとされています。ゴッホの作品に浮世絵が描かれる等、日本とも縁のある世界的画家の一生を一冊の本を通して知ってみませんか。

 (N・Y)
湊 かなえ/著   幻冬舎

 高校を卒業して十年、部活の同級生同士の結婚式で知った友人の行方不明事件。その裏に潜むなぞの真相を確かめようと高倉悦子は友人たちへ手紙を送る。彼女たちの悲しみや苦しみ、嫉妬心などずっと秘めてきた真相が手紙によって明らかになる。
 本書には3話が収録され、ミステリーを織り交ぜながら、手紙形式で物語が展開する。相手へのいたわりを込めた味わいある「手紙」の魅力も伝わってくる。

 (Y・O)
『帰る家のないどうぶつたち』 『辛夷開花』
松坂 星奈/著   PHP研究所

 これは現実に毎日捨てられ殺されている命のおはなしです。
人間の勝手な都合で捨てられるどうぶつたち。収容されている犬の半数以上は、元々飼われていたという事実。犬たちは5日間の猶予を経て、ガスにより殺処分され、焼却後の骨は“産業廃棄物”として処理されていることを知っていますか?
 まるで物のように扱われている命。著者は、私たち一人一人がこの問題を真摯に受け止め、意識を変えていくことで、社会を動かすことができると思い、悲しいこの現実を一人でも多くの人に知って欲しい、伝えて欲しいと訴えています。

 (S・I)

植松 三十里/著   文藝春秋


 明治元年、幕府の崩壊後、幕臣の娘・お常は父母と共に駿河で貧しい長屋生活を続けていました。お常が17歳の時、女学校に通い始めたことがお常の人生を変えていきます。
 ライマン先生との初恋と別れ、そして薩摩の森有礼との結婚。お常はその後も姑との確執や異国の地での日本の扱いの低さなど、様々な困難に直面しながらも臆することなく立ち向かいます。
 生まれ持った美貌と物怖じしない性格で外交界にデビューし、外交官の妻として明治の大きな時代の変化の中を生きた女性を描いた物語です。

 (S・S)


 





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