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No.474 平成23年7月
 
  
『いのちの授業』
~赤ちゃんの誕生に向き合ってきた助産師のメッセージ~
『黄泉坂案内人』
寺田恵子/著  学研パブリッシング

 現役の助産師である著者は、子ども達にいのちの大切さを、親には産み直し体験をしてもらうことで、「無事に生まれてくれればいい」と願った頃のことを思い出してもらうために、親子で一緒に参加する「いのちの授業」の講演をしています。
 親子が触れ合うことで自然と「生まれてきてくれてありがとう」「産んでくれてありがとう」と伝え合い、子供たちは自分がどれだけ大切な存在だということを理解し、いのちの重みを感じることができ、自分自身を大切にしていきたいという、気持ちが芽生えてきます。
 中絶や虐待、いのちを粗末にする人が多いこの時代にぜひ読んでほしい一冊です。

 (A・N)
仁木 英之/著  角川書店

 事業に失敗し、社長という身からタクシードライバーとなった磐田速人。彼の支えとなっていた妻と娘は実家に帰ってしまい、仕事では一週間の謹慎処分となってしまいます。途方にくれ、家族との思い出の残る湖畔でたたずんでいた時、速人は突然水の中へと引き込まれていきました。気がつくと、目の前には三本足の鴉や河童が行き交う不思議な光景。そこは現世とあの世の間に存在する「入日村」という場所で、速人は彩葉という少女と共に迷える魂を救う仕事を任されるのでした。
 自分の置かれた状況に混乱しながらも、死を受け入れられない人びとの心情に触れ、安らかに黄泉の世界へと人びとを導く速人たちの姿が描かれた切なくも心温まるファンタジー小説です。

 (Y・O)
『彷徨う警官』 『2泊3日 遺言ツアー』
森 詠/著  毎日新聞社

 警視庁蒲田署刑事課の北郷は、事件から20年も経ち、法律上、時効になった事案を個人的に非番の日を使って捜査していた。当時高校生だった北郷の恋人を含めた5人が強盗に入った犯人たちに射殺された事件である。
 そして捜査上にあがった一人の参考人にたどり着いたのを機に、事件の糸口が見え始める…。
 最愛の人を殺した犯人を捕まえるために警官になった北郷は、犯人を目の前にして最後まで警官でいられるのか?時効となりながらも、一人事件から離れられず彷徨い続ける警官を描いた物語です。

 (S・S)
黒野 伸一/著  ポプラ社

 小さなイベント会社の新米社員、美月。
毎週提出の企画書は、箸にも棒にもかからずじまい。困り果てた美月が、なかばやけくそで出した企画「遺言ツアー」それがなぜか社長の目にとまりツアーを開催することに。
 参加者は曲者ぞろい。おまけにトラブルが続き、前途多難なツアーを、美月は一人でまかされるはめに……。
 しかし、ひとりひとりと面談を続けるうちに美月自身も、遺言状のもつ本当の意味に気づかされていきます。参加者は、無事に遺言状を書き残すことができるでしょうか。

 (A・U)
『ブルーインパルス
大空を駆けるサムライたち』
『時に海を見よ~これからの日本を生きる君に贈る』
武田頼政/著  文芸春秋

 皆さんは「ブルーインパルス」という名前をご存知でしょうか。航空自衛隊に所属する航空機を用いたアクロバットチームで、日本の大きな行事等で曲技飛行を披露してくれます。その技術は世界的に見てもとても高い水準にあるそうです。
 一見華やかな存在にしか見えない「ブルーインパルス」ですが、その裏には過酷な訓練は勿論、重いチーム成立の由来や悲惨な事故の歴史を背負っています。東京オリンピックの空に五輪を描いたアクロバットチームの軌跡を是非読んでほしいと思います。

 (N・Y)
渡辺 憲司/著  双葉社

 未曾有の大津波が日本を襲ったのは、晴れやかな卒業式の前だった・・・。
 「卒業式を中止した立教新座高校三年生諸君へ」と題し、校長先生が悲しみと絶望の淵にいる卒業生へ、インターネット上でメッセージを公開した。
 「時に海を見よ・・・」青々とした大海原でもなく、黒々とうねり尊い人命や生活を奪ったあの海を、直視する勇気を持て。現実を見るのだと。
 3・11以降、生きていかなければならない若者たちへ、珠玉の言葉が胸をうちます。

 (S・I)

 





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