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No.475 平成23年7月
 
  
『38人の沈黙する目撃者
キティ・ジェノヴィーズ事件の真相』
『明日のマーチ』
A・M・ロゼンタール/著  青土社

 1964年3月、米ニューヨークで、深夜に帰宅中の女性が、惨たらしい方法で殺害されました。
 犯人は逮捕されましたが、捜査過程で意外な事実があきらかとなります。近隣住民の38人が、被害女性の叫び声を聞いたのに、誰ひとり通報さえもしなかったというのです。
 なぜ、1人も通報をしなかったのでしょうか?『傍観者効果』と言われる言葉まで生み、未だに語り継がれる、この事件を探ります。

 (A・U)
石田 衣良/著  新潮社

 山形県の鶴岡にある工場で、突然契約解除された派遣社員4人の物語です。
 もともと特に親しい友人というわけではありませんでしたが、同じ日に仕事と住処を失い、荷物をかかえて「この先どうする?」と話しはじめました。一人が東京まで歩いて帰ると言い出し、他の三人も行動を共にすることになりました。
 季節は真夏、なるべくお金を使わない600キロの旅が始まります。

 (N・K)
『〈わたし〉を生きる 女たちの肖像』 『圓朝語り』
島﨑 今日子/著  紀伊國屋書店

 今でこそ女性の社会進出はあたりまえのようになっていますが、自分の信念に従い、前へ突き進む女性たちに蔑みや非難の眼が浴びせられた時があったのは言うまでもありません。しかし、そんな大きな壁を乗り越えてこそ輝ける人生が切り開けるのです。
 ここには作家、音楽家、政治家、スポーツ界などで活躍する現代女性16人の姿が紹介されています。業種は様々ですが、各々が悩みを抱え、葛藤しながらも努力を惜しまず、進むべき道を邁進する姿勢が勇気を与えてくれます。

 (Y・O)
稲葉 稔/著   徳間書店

噺家・三遊亭圓朝は、芝居噺で人気を得たものの、その後の客足が減り自分の芸に悩んでいました。
 そんな時、圓朝の噺に魅入られ、弟子入りしたいという一人の侍が圓朝のもとを訪れます。そこへ今度は可愛がっていた蕎麦屋の娘が殺されたという知らせが入り、圓朝は、弟子にした元侍の男を連れて下手人を探すことに。
 いろいろな人から話を聞くと、なにやら怪談話も飛び出してきました。下手人探しをしながらも、怪談話を参考に新作落語を考える圓朝。怪談「牡丹灯籠」ができるまでを描いた物語です。

 (S・S)
『もうすぐ夏至だ』 『バービーと私』
永田 和宏/著  白水社

昨年の七月、歌人であり妻の河野裕子さんが亡くなりました。
 同じ歌人として生きてきた著者は、亡くなる前日まで歌を作りつづけた妻を家族で支えました。癌の告知を受け、妻との時間に限りがあることを知ってから、一日一日をできるだけ一緒に楽しく過ごすことを願うばかりでした。
 この本は細胞生物学の権威であり、歌壇の第一人者である作者の初めてのエッセイ集です。亡妻河野さんとの出会いから家族のこと、大切な最後の時間。今、河野さんの歌に支えられて生きている著者の心がこもった一冊です。

 (T・M)
宮塚 文子/著  亜紀書房

 完璧なプロポーションに素敵なドレスをまとったバービーは、アメリカで発売され、たちまち世界中の女の子の憧れになりました。
 そんなバービーの生産国が日本だったことをご存知でしょうか。著者の宮塚さんは、バービーの誕生に関わり、ドレスを担当していました。彼女は後に起業し、リカちゃんなど着せ替え服製作の第一人者として活躍しました。
 バービーの生みの親、ジョンソン女史とのドレス開発。それは最も全力で、強烈に生きた1年間だったそうです。バービーは私の宝であり、人生そのものという著者。昭和の時代に“安かろう悪かろう”と言われた日本製品を、世界基準に押し上げた彼女の知られざる秘話です。

 (S・I)

 





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