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No.477 平成23年8月
 
  
『紅梅』 『あきらめないで
 ~足みじかおじさんの旅~』
津村 節子/著  文藝春秋

 最愛の人が癌になった時、自分ならどう向き合うのでしょうか。芥川賞作家の津村節子さんは、歴史小説家の夫、吉村昭氏の癌を宣告されました。もう助からないかもしれないと知り、看病に専念したいと思う妻でしたが、仕事の締め切りはいつも時間を奪っていきました。徐々に弱り、夫は自らの死を強く意識するようなりました。
 この本は一年半にわたる吉村昭氏の闘病生活を、傍らで支えた妻と作家の両方の立場で描かれた小説です。癌の夫の側で津村さんは、小説を書く女は最低だと自分を責めました。
 ふたりにしかわからない吉村昭さんとの最期の愛しい日々を綴った一冊です。


 (T・M)
やなせ たかし/著  新日本出版社

 「アンパンマン」で知られるやなせたかしさんが、アンパンマンよりも古くから書き続けている「足みじかおじさん」。その作品が2009年4月、著者が90歳になった時に本になり、本書は前作に続く第二集になります。
 “一篇3分以内で読めるので、インスタントラーメンに熱湯をそそいで待っている時にも読めます。おためし下さい。”とのメッセージ通り、この大人向けのショートメルヘンは気軽に読むことができます。
 少しでも疲れた心を慰められれば…そんな著者の愛がたくさん詰まった一冊です。

 (S・I)
『希望 僕が被災地で考えたこと』 『がん患者』
乙武 洋匡/著   講談社

 3月11日、東日本大震災。
 僕らに、一体何ができるのだろう?
しかし、立ち止まっていても、だれかの役にたつことはできない。だから僕は、被災地に向かった・・・。
 『五体不満足』の著者が、震災後の被災地を取材しました。石巻での特別授業、仙台での始球式。そこで出会ったのは、明るく、前を見つめるたくさんの被災者だったのです。そこで見たこと、感じたこと、そして考えたこと。
 乙武流の新しい、復興支援の形です。


 (Y・M)
鳥越 俊太郎/著  講談社

 著者は2005年に大腸がんと診断され、手術を受け、仕事復帰を果たしました。しかし間もなく、肺と肝臓への転移が見つかり、これまで4度の手術を受けてきました。始めのがん手術から5年以上経過した今だからこそ、がん患者となった自分が体験したこと、感じたことを伝えたいという思いで綴った記録です。明るく前向きな姿勢の裏に、がん治療の苦しさに耐え、自分の死と向き合う姿が記されていいます。徹底して現場にこだわるジャーナリストとしての生き方が伝わってきます。

 (Y・O)
『やなりいなり』 『それでも僕は「現場」に行く』
畠中 恵/著  新潮社

 生まれつき身体が弱いながら、妖の血をひく長崎屋の息子、一太郎。彼を守るのが、犬神の佐助や白沢の仁吉をはじめとする妖の面々。今日は、長崎屋の稲荷に住む守狐たちが、食欲のない一太郎のために、特製の「やなり稲荷」をつくってきてくれました。
 みんなでつまみはじめたとき、どこからともなく手があらわれて、稲荷をつかもうとしたのです。さて、この手の正体は?
表題作「やなりいなり」をはじめ全5編が収録された、「しゃばけ」シリーズ第10弾です。


 (U・A)
野口 健/著  PHP研究所

 著者、野口健の職業は何?よく知られているのは、登山家または、エベレスト・富士山における清掃活動でしょうか。
 2005年にヒマラヤ登頂を目指した際、上部キャンプで悪天候により足止めを食らいました。猛吹雪・酸素ボンベの残量が刻々と減るなか、彼は強烈に「もっと生きたい!」と願いました。そこで考えたのが、召集令状1枚で自分の意志とは裏腹にやむなく戦地に赴いた、戦死された方の思いです。この経験から彼は戦死された方の遺骨収集活動にも取り組んでいます。
 また政治家や国境を越えた人々との出会いを通して、さまざまな取り組みをしています。「野口健」という職業。「知ったことを背負い、行動に移す」その足跡をぜひ読んでほしいと思います。


 (H・I)

 





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