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No.478 平成23年9月
 
  
『まともな家の子供はいない』 『前向き
-93歳、現役。明晰に暮らす吉沢久子の生活術-』
津村 記久子/著  筑摩書房

 14歳のセキコは、職を転々とする父と父の機嫌と取り続ける母、周りに合わせるのだけは上手な妹の4人家族。
 ある日、父がまた仕事を辞めてしまった。家に居たくないセキコは、塾が終わった後や休みの日は、図書館で勉強をする。
 しかし、盆休みは塾も図書館も休みであるため、父と顔を合わせなければならない。毎日、就職活動もしないで妹とゲームをしている父に「大人なら大人らしくしろ」と怒りまくってしまう。
 14歳のセキコからみた不穏な毎日、そこから浮かび上がる大人と子供のそれぞれの事情と心情が、とても切ない物語になっている。


 (A・N)
吉沢 久子/著  マガジンハウス

 エッセイの執筆や講演活動など、93歳になった今でも現役で仕事を続ける、そんな明るく前向きな彼女の暮らしの秘訣とはどんなものでしょうか?
野菜に濡れタオルをかけて冷やしたり、家の中の涼しい場所を探して仕事をしたりと、電気に頼りすぎない昔ながらの生活を大事にしながら、また一方ではSuicaで電車に乗ったり若い人ともつきあったり、いろいろなものに興味を持ち続けている著者。
年をとるのを面白おかしく感じながら、時にはできないことを諦め、それでも自分を甘やかさない。1人暮らしだからこそ緊張して生きるという著者の賢い生活術とは?


 (S・S)
『愛人犬 アリス』 『天空の帝国インカ』
団 鬼六/著  ブックマン社

 「家に帰ったら・・・・・・また夕暮れ時にアリスと共に散歩に行こう」
 今年5月に亡くなった著者、最後の本。根っからの犬好きである老人となった著者が、老犬となったアリスとの思い出をつづり、それに写真が添えられ、妻や娘の原稿も二人のことを語っています。アリスは血統書付きのラブラドール・レトリバー、11歳。「規則正しい」が最も苦手な飼い主に育てられ、毎日おこぼれをもらっていたアリスは「デブラドール」と呼ばれてしまったり・・・・・・。おかしくも、切なく過ぎる最期の時。周りの人や生き物への溢れる想いに、胸が熱くなります。


 (A・H)
山本 紀夫/著  PHP研究所

 「天空の都市」と言われるマチュ・ピチュは、今からちょうど100年前に発見され、南米の地に栄華を誇ったインカ帝国最大の遺跡です。世界中の人を魅了し、観光スポットとしても注目を浴びています。民族学者の著者もインカ帝国の謎にひきつけられ、40年余りにわたってこの地を調査してきました。
 本書では、アンデス高地の農耕文化やインカの先住民の生活や考え方に着眼し、定説や常識にとらわれず、著者自身が目で見て、頭で考えたことを大切にし、文献や資料を参考にしながらインカの謎をひも解いています。


 (Y・O)
『東京ロンダリング』 『三池炭鉱「月の記憶」』
原田 ひ香/著  集英社

 りさ子はある事情で離婚し、住むところに困って入った不動産屋で部屋のロンダリングの仕事を紹介され、引き受けます。ロンダリングとは、入居者が死んだ部屋に住み、部屋を浄化すること。
 孤独の中、無気力でロンダリングの仕事を続け 極力周りとの付き合いをさけて、東京中を転々としてきたりさ子でした。
 ところが、あるアパートに仕事で入居した時に、大家さんのおせっかいから、りさ子もよく利用していた食堂で、アルバイトをすることに。
 最初はかたくなな心のまま、アルバイトを始めたりさ子でしたが、周りの人の愛情をうけ、次第に心を開いていきます。一人の女性の、挫折と再生の物語です。


 (U・A)
井上佳子/著  石風社

 「月が出た出た月が出た…」と炭坑節で歌われる三池炭鉱の108年の歴史を、坑夫の記録とインタビューから書いたノンフィクションです。
 明治初頭、労働の主力は囚人たちでした。その後、
台風の被害で生きるすべをなくし集団移住した与論島の人々。戦前から戦中にかけては朝鮮・中国から強制連行された労働者。
 もともとが過酷な炭鉱での労働、そこにはいつの時代も地元の坑夫よりも劣悪な労働条件と差別の中生き抜いた人々がいました。


 (N・K)

 





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