『ジャズと落語とワン公と~天才トドロキ教授の事件簿』 |
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『海の向こうに本を届ける
~著作権輸出への道~』 |
赤井 三尋(アカイミヒロ)/著
講談社
大正11年。日本中の大歓迎をうけて初来日を果たしたアインシュタイン博士。その博士が愛用するバイオリンが、取り替えられるという事件がおこります。
事を荒立てたくない博士ら関係者が事件解決を依頼したのが、早稲田大学の等々力教授。専門の言語学だけではなく、推理力でもたぐいまれな才能をみせる教授は、博士の期待どおりに残された時間で犯人とバイオリンを見つけ出す事ができるでしょうか?
大正から昭和初期の日本を舞台に、人並み外れた推理力をもつ教授が活躍するミステリー集です。
(A・U) |
栗田 明子/著 晶文社
今、私達は当然のように本を手に取り読むことができます。それが外国の本であっても、日本語に訳され、多くの作品に出会えます。
70年代より、日本の出版物を海外に売り込もうとした女性がいます。まだ日本から世界へ出版情報の発信がされていない時代です。世界の出版社を巡り、目利きの出版人たちと出会い、世界との出版の違いを思い知ります。それでも世界へ日本の文学を紹介したいと思い続けるのです。
この本は栗田さんという一人の女性の海外へ文芸書を紹介したいという熱意から始まります。人生を「面白かった」といいきる潔い栗田さんの冒険の物語です。
(T・M) |
『絶望の隣は希望です!』 |
『書行無常』 |
やなせ たかし/著 小学館
「アンパンマン」の父である著者は、50歳頃までずっと、漫画家としての代表作がないというコンプレックスがあったそうです。アンパンマンの人気が出始めたのは60歳を過ぎてからで、92歳の今でも現役で仕事をされています。
本書では、絶望の中で『てのひらを太陽に』が生まれたこと、戦争を経験して本当の正義について考え、そして生まれたアンパンマンは、初め批判が殺到したことなど、今まで前だけを見て生きてきた著者が、過去の人生を振り返っています。
一寸先は光。継続は力なり。超遅咲きな著者の言葉には説得力があり、そしてやさしく、深く、私たちの心に語りかけてきます。
(S・I) |
藤原 新也/著 集英社
写真家の藤原新也さんが、最近では書にも挑戦されています。雑誌の企画で毎週連載するために様々な場所を訪れて、大きな文字を墨で書いていきます。書く文字はその時々で感じたものに対して、自らが発するメッセージを書き、その作品を写真で残しています。
これまでに書いた場所は渋谷のスクランブル交差点を始め、大分県、長野県や青木ヶ原樹海の他、あのAKB劇場でも書いています。また中国やインドといった海外にも出向いています。そして震災の地、東北にも。
この本の中では「死ぬな生きろ」と書かれた強いメッセージが印象に残ります。
(K・S) |
『おばあさんの魂』 |
『耳トレ』 |
酒井 順子/著 幻冬舎
日本人女性の平均寿命は86歳で、男性よりも7歳上です。世の中はおばあさんがいっぱい溢れ、高齢社会はまさに「大おばあさん時代」と著者は語っています。
来るべき大おばあさん時代に備え、著者自身の祖母の話、佐賀のがばいばあちゃんや漫画の『いじわるばあさん』、世間で名の知れたおばあさんと言うべき年齢の女性たちを取り上げ、おばあさんの人気の秘密や、おばあさんが持つ力とは何なのかを解き明かしています。読んでいくうちに元気がでます。
(Y・O) |
中川 雅文/著 エクスナレッジ
高齢者の問題だと、なかなか関心を持ってもらえないのが難聴です。しかし、「イヤホン難聴」や「メタボ難聴」など、難聴の危険はごく身近に潜んでいて、大難聴時代がやってくると著者は語ります。
「騒音」と「動脈硬化」が関係するという難聴は、条件が揃えば若くても難聴になる可能性があり、早期の予防や対策が大切だといいます。
本書では改めて「聞こえる仕組み」を説明し、現代人が陥りそうな難聴の原因を知ることで、普段気にかけることが少ない「耳」へ目を向ける必要性を伝えています。
(S・S) |