『バウルを探して』 |
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『上野千鶴子が聞く
小笠原先生、ひとりで家で死ねますか?』 |
川内 有緒/著 幻冬舎
国連職員だった著者は仕事でバングラディシュに行った際に、祭りや路上で歌を披露しながら放浪する「バウル」と呼ばれる人々がいて、ユネスコの無形文化遺産に指定されてはいるがその実体は謎だと教えらえます。やがて仕事を辞めたのを機に、バウルの存在に心を惹かれ少ない情報をもとに再びバングラディシュへ。
18世紀の終わりに誕生したバウルの神様的存在のラロン・フォキルのこと、彼の作った千以上の歌が口承され今も歌い継がれていること、歌に秘められた暗号のような詩、そしてバウルの掟などに迫る著者の旺盛な好奇心と情熱が詰まった12日間の旅の記録です。
(Y.O) |
上野 千鶴子・小笠原 文雄/著
朝日新聞出版
日本における在宅死はすべての死亡数のうちおよそ12%。最期は家で迎えたいという人が、どれだけその願いがかなえられているのか。そして、高齢単身世帯、いわゆる“おひとりさま”たちの最期はどう看取られていくのだろうか。
本当にひとりで家で死ねるのかといった、大きな問題を、在宅医療関係者とともに考える一冊です。
近い将来、いのちの最期の迎え方に「在宅ひとり死」が選択肢のひとつになると著者は言います。ひとりひとりが豊かで納得のいく、そんな看取り文化を考えませんか?
(Y.M)
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『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』 |
『ゆびきり』 |
出雲 充/著 ダイヤモンド社
皆さんミドリムシをご存知ですか。大きさ0.05ミリのこのプランクトンには、地球が抱える問題を解決する可能性があるそうです。
出雲さんは18歳の時バングラディッシュを訪れ、貧困や栄養失調にあえぐ人々をどうにかしたいと考え、目を付けたのがミドリムシだったのです。
大学卒業後は銀行に勤めるも退職、ミドリムシを扱う会社を起業することに。起業後は様々な困難が立ちはだかるも耐え忍び、今では色々な分野から注目される社長となられています。
(Y.E) |
早乙女 勝元/著 いわさき ちひろ/絵 新日本出版社
家の中に「欲しがりません、勝つまでは」の戦中ポスターが貼ってある頃の物語。
下町の小さな路地裏に住む少年たちの生活は貧しくて、さみしい・・・。でも、楽しいこともある。そんな日常が描かれています。そして、やがて襲い掛かる空襲。
ページをめくる毎に本の中の彼らの話し声が、すぐそばに聞こえてくるような感覚に陥ります。どこか切なくなるのは、いわさきちひろさんの挿絵がそれを後押ししているようで、引き込まれます。
戦争と平和について考えさせられる1冊です。
(A.M) |
『わたくしたちの成就』 |
『義足ランナー -義肢装具士の奇跡の挑戦-』 |
茨木 のり子/著 童話屋
代表作「自分の感受性くらい」や「倚りかからず」など一本筋の通った強い女性のイメージのまま、生涯、詩の世界では詩人ではなく公人を貫きました。
しかし著者の死後、発表を許された詩に強さはなく、亡くなったご主人への一途な想いを綴ったものでした。
“ 死んであなたの傍らで眠ること。それがわたくしの成就です”と語る「急がなくては」をはじめ、すべて亡きご主人への気持ちが込もった愛の詩集です。
詩人・茨木のり子の本当の姿がみられる一冊です。
(A.U) |
佐藤 次郎/著 東京書籍
いくつかの偶然が重なり、何かに導かれるように義肢装具士となった臼井さん。別の医師がアメリカから持ち帰った、義足で走る人の映像を見た臼井さんは、義足で走るという発想がない日本でも義足で走ってもらいたいと決意し、そのための活動を続けてきました。
なかには、パラリンピックに出場するという快挙を遂げた選手もいます。選手にならずとも、多くの人が義足で走ることを体感しました。最初は、日に2、3人しか集まらない日もあった練習会も、スタッフも加えて50人を数えるまでに増えました。
「走る楽しさを少しでも多くの人に伝えたい」と、根気よく活動を続けてきた臼井さんと、臼井さんを信じて走る楽しさを体感した人たちの物語です。
(S.S) |