『金魚姫』 |
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『アリストテレスの人生相談』 |
荻原 浩/著 角川書店
江波潤は、仏壇仏具販売会社の営業の仕事が思うようにうまくいかず、おまけに同棲していた彼女にはふられ、心身ともに滅入っていました。
そんな時、潤は近所の夏祭りに出かけ、金魚すくいをして、一匹の金魚を持ち帰ります。しばらくすると、潤の目の前に、全身びしょ濡れの赤い服を着た女性が現れました。彼女が現れてからというもの、潤は死者の姿が見えるようになり、そのおかげで仕事は順調にすすみますが、彼の周りでは不思議なことが次々と起こります。
数奇な運命を背負った金魚の化身の女と、人生に行き詰っていた男が織りなす、不思議な世界に心惹かれる物語です。
(Y.O)
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小林 正弥/著 講談社
ギリシャの三大巨星の一人アリストテレス。西洋哲学の祖といえるソクラテス。師の思想を受け継ぎつつ、その思想は宗教的側面が濃く宗教哲学の元となったプラトン。そして2人の偉大な哲学者の流れをくむのがアリストテレスです。
来年には生誕2400年を迎えるアリストテレスが、今、また注目を浴びています。
古典思想と言われる哲学がなぜまた最注目されているのでしょうか?現代人が直面する様々な問題をアリストテレスの思想で答える形でその考えをわかりやすく解説しています。
人生に生かせる哲学を学べる一冊です。
(A.U)
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『挑む 私が等これからの教育観』
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『墨東地霊散歩』
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菊池 省三/著 中村堂
北九州市の公立小学校で33年間、教壇に立ち続けてきた著者は、今年の春、教師生活に幕を閉じました。
教師生活9年目の時に起こったある出来事をきっかけに、コミュニケーション教育を重視し、現役時代、いくつもの学級崩壊を立て直してきた彼。NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』にも出演し注目されてきました。そんな彼の突然の退職は、どんな思いがあってのことなのでしょうか。
これからの教育の在り方を出会った人々に語り伝え、「教育界は変わる」と信じて、今後も挑み続ける彼の熱い思いが伝わってきます。
(R.K)
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加門 七海/著 徳間書店
本書タイトルには「地霊」の文字が入っていますが、冒頭著者が語っているとおり怖い話や怪談が書かれているわけではありません。怪談の舞台や、噂がささやかれる墨東(隅田川の東岸)の地を調べ、その地にうもれた歴史や著者自身の体験を交え、本書が書かれています。
ちなみに、皆さんも1度は「四谷怪談」のお岩さんの話を聞いたことがあると思いますが、彼女が亡くなった場所が現在のどこになるかご存じでしょうか?今では誰でも聞いたことのある有名な建造物の敷地となっているそうです。本書を読んでぜひ確認してみて下さい。
(Y.E)
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『田んぼアートのキセキ』 |
『樹は語る』 |
葛西 幸男/著 主婦と生活社
奥多摩山中で起きた交通事故の車のトランクから、ひどい暴行を受けた男性が発見されます。のらりくらりと警察の追求をかわす彼の職場に目をつけた刑事の荻は、事件の真相を暴くべく奔走します。
一方、自衛隊員の佐々岡は、身に覚えのないトラブルが原因で、自衛隊をやめざるを得ない状況に追い込まれていました。
荻刑事が追う事件と、佐々岡の身の回りで起こること全てが複雑に絡み合います。この国の未来を揺るがす陰謀が明かされる、ハードサスペンス小説です。
(S.S)
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清和 研二/著 築地書館
これまで生活の豊かさを求め、日本各地の森林で無造作に樹木が伐採され、跡地は針葉樹が植えられたり、放置されたりしてきました。著者は、樹をしらないことが根本的な要因だと言います。一方では、現在多様で豊かな森を、再生しようと世界中で試みもまた始まっています。
本書では、日本の落葉広葉樹の生態の特徴について、著者のスケッチと共に解説しています。
毎日のように森に通い、樹木を調査、観察し続けた著者。小さな種子が、発芽し、その芽が育ち、花が咲き、そして自ら種子を蒔きちらすまでの自然の姿が描かれています。
(H.Y)
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