『書楼弔堂 炎昼』 |
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『21世紀の暫定名著』 |
京極 夏彦/著 集英社
本書は「書楼弔堂」シリーズの第2弾です。
街燈台に似た奇妙な建物。戸は閉じられ、軒に下がった簾には「弔」と記された半紙が一枚。物語はこの奇妙な本屋の中で進んでいきます。
前作に続き、章ごとに有名人が登場するのですが、その正体を推測しながら読み進めるのも楽しみの一つ。
「扨、あなた様はどのようなご本をご所望ですか?」本が持つ魅力、史実と虚構が入り混じった弔堂の雰囲気に引き込まれることでしょう。
(T.I)
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群像編集部/編 講談社
2001年から始まった21世紀。早いもので今年17年目になります。
21世紀になってからも、たくさんの本が出版されてきましたが、その中で100年以上読み継がれていく本は生まれてきているのでしょうか?日本で現在活躍中の論者たちに尋ねると、多種多様な本がでてきました。
著名人たちがすすめる名著の数々、今後の読書の参考にいかがでしょうか?
(U.A)
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『かぐや姫はいやな女』
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『ハリネズミ乙女、はじめての恋』
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椎名 誠/著 新潮社
誰でも一度は聞いたことがある昔話「竹取物語」、その主人公のかぐや姫がなぜ嫌な女なのでしょう。
著者は言います。彼女は侵略型宇宙人であると。月から来て、求婚してきた男たちを使って地球の宝を調査し、手に入らないと全てを投げ捨て月へ帰ってしまう傲慢で嫌な女だと。
著者の視点で見た昔話の他、世界や日本を旅するなかで見えてきた、その国でしか通用しない常識を椎名ワールド満載で描いたエッセイです。
(Y.E)
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令丈 ヒロ子/著 角川書店
おばあちゃんの代から続く芸人一家に生まれたコノカ。自分の知らない多くの人が家族のことを知っているのが嫌で、誰も知らない所に行きたいと東京に出ます。そこで、一匹のハリネズミと出会ったのです。ハリネズミの前では何でも素直に話すことができるコノカ。彼女の人生はそこから大きく変化していきます。
これまで数多くの児童文学作品を紡ぎだしてきた著者が、傷つきながらも一歩ずつ前進していく少女の心の内を描いています。
(R.K)
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『闘うもやし』 |
『再発!それでも私は山に登る』 |
飯塚 雅俊/著 講談社
他の野菜と比べても年間を通して価格が安定し、以外と栄養素があるもやし。そしてなんといっても安いもやしは家計を助ける救世主ともいえます。
しかし、価格が安いという事は生産者の儲けは出ているのかが非常に気になります。本書は会社を先代から引き継ぎ、小さい頃からもやし工場で遊んで手伝い、景気が良い時も悪い時も家族と共に乗り越えてきたもやし生産者の奮闘記です。
低コストで生産が可能なもやしですが、価格が安い為、近年廃業せざるを得ない会社が後を絶たず廃業してしまう所も多いそうです。もやし生産者の苦悩と葛藤が書かれた本を読んでみてはいかがでしょうか。
(M.T)
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田部井 淳子/著 文藝春秋
昨年10月に亡くなった、世界初の女性でのエベレスト登頂者である登山家、田部井淳子。本作は、彼女の2014年からの登山家としての活動、そして闘病記にもなっている遺稿集になります。
三度の癌に侵されながらも、「病気ではあっても病人ではない」という本人の言葉通りに生涯現役を貫き、登山を通じた活動に力を入れ続けた筆者。
治療をしては山へと向かう姿が何度も記された本作は、山への情熱と力強さを伝えてくれる文章で、私達に前向きで温かい気持ちを与えてくれます。
(N・Y)
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