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平成15年冬号

・朝読み、夕読みのすすめ 
・自動車図書館「ぶっくん」は往く
・読書の秋 ことしは芥川賞作品展
・郷土の偉才に学ぶ文化講演会「久米邦武と米欧回覧実記」(お知らせ)
・ご寄付ありがとうございます
・いすの木コンサート ~秋に歌う~(お知らせ)

★ 1面
朝読み、夕読みのすすめ 
伊万里市教育長 岩永 憲一郎

 朝の読書実施校が全国に広がり、伊万里市でも、全小中学校で実施されるようになりました。1988年に、ある高校の先生がこれを提案したという記事が紹介されていましたが、伊万里市では、それより5年も前の1983(昭和59)年には、南波多小学校(校長 佐々木光代先生)で朝読み、夕読みとして取り組まれています。

 朝、全校一斉の読書の時間を設定し、家に帰ってからは、夕方から夜にかけて音読をし、家族ぐるみの読書のひとときを過ごすのです。家が忙しい時は、梨畑で大きな声で読み、それを親が聞くこともあり、後で夕読みカレンダーに記録をするのです。

 下記の6年生の子の作文に、当時の家族の夕読みの様子が、実にありありと描写されています。
 『わたしたち姉妹の「夕読み」は、はっきり時間は決まっていないけれど、夕食をすませ、だいたいみんなが集まった時にします。例えば、一番末の妹が、「国語の本ば読むけんお父さん聞いちょって」と言えば、お父さんはえんぴつをそぎながら、お母さんやおばあちゃんは、洗濯物をたたみながら聞いてくれます。すると次の妹が、「わたしも読むけんどっちが上手か聞いちょって」といって、順番にいっしょうけんめいに読みます。一番末の妹は、ゆっくり、はっきり読んで聞かせます。次の妹も負けずに表情をころころかえながら、いっしょうけんめい読みます。二人が読み終わると、今度はわたしが読みます。最後には一番上の姉まで来て読み始めます。みんなが読み終わると、お父さん、お母さん、おばあちゃんは、その本の内容について感想をいいます。そして、「上手だった」とほめてくれます。時には、わたしたちが読んでよかった本は、「お父さんたちも読んでみて」と言って、みんなで読みます。今からも、ずっと続けていきたいと思います。』

 朝の読書については、朝の清々しい静寂の中に、生徒も教師もすべての者が同時に継続的にとりくみ、一人ではできない子まで無理なく巻き込んで、全員で読書の喜びを味わうことができます。

 本を読んでいると、じっくり物事を考えることができ、一日落ち着いて過ごせるとか、マンガ、雑誌以外の本を読むのが苦にならなくなったとか、朝読みがなかったら、この先も本を好きになることがなかっただろうというような朝読書の効果を示す感想があります。

 現在の子供たちは、テレビを見たり、ゲーム等をして室内で過ごすことが多く、子供たちを読書から遠ざける刺激が増えています。テレビゲームを長時間行うとゲーム脳になり、前頭野という脳の前部が活動せず、キレやすい人間になるおそれがあるが、本を読むと前頭野が活性化され、情緒豊かになると言われています。本を読むことで心の花はきれいに咲き続けることでしょう。

 青少年の心の教育の大切さが叫ばれる今日、学校と家庭の連携を密にして、家族ぐるみで読書環境をつくり、どこの家庭でも、こどもの本を読む声が聞こえ、それが伊万里市いっぱいに響きわたれば、どんなにすばらしいことでしょう。

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★ 2・3面(1)
自動車図書館「ぶっくん」は往く

● 「ぶっくん」との出会いに感謝

 「せんせー、今日ぶっくん来る日よね。」と、毎月2回の「ぶっくん」来園を楽しみに待っている子どもたち。
 国道202号バイパスの下に位置する当園への狭い道を、あの大きなバスいっぱいに、子どもたちが大好きな絵本や紙芝居を毎回届けてくださる「ぶっくん」の運転手さんやお姉さん。びっくり箱からお話が飛び出すように工夫を凝らして、いつも子どもたちの心をワクワクさせてくださる「おはなしキャラバン」の皆さん。「今度、恐竜がいっぱいの本もってきてね。」「ぼく、昆虫がいっぱいの…」等とおねだりしている子もいます。「この本借りようっと。」と、お姉さんやキャラバンさんに読んでもらった本を覚えていて借りて帰る子もいます。「せんせー魔法使いの出てくる本また読んでー」と催促にくる子…。こんな光景に、ぶっくんの本との出会いは、人と人との出会いやコミュニケーション、心情を共感することができ、この環境をありがたいと思っております。

 私事で恐縮ですが、先日、私は園のミニ絵本コーナーの一冊に昔の自分に出会うことができ、ずっと気になっていたことが解決できうれしい思いをしたのです。
 その一冊とは『でこちゃん』という絵本です。お母さんに散髪してもらった、てこちゃん。前髪が短くなりおでこが気になって気になって仕方がありません。案の定、みんながてこちゃんのおでこを見て笑います。てこちゃんはでこちゃんになっちゃいました。園にも行きたくなーいと嘆いているてこちゃんに、お姉ちゃんがおまじないと言って前髪をかわいいイチゴのカッチンどめで止めてくれたのです。このおまじないに、てこちゃんはうれ しくって、おでこなんかちっとも気になりません。そのうちに、おでこのおまじないがひろがって園のお友だちまで、でこちゃんに…。この本を読み終えた時になんと私も心の中で「イェーイ。」と片手にVサイン。母にしてもらった散髪のあとのあのおでこの悩み解消です。幼い頃の自分や母や家族に出会えたようで、ふっと懐かしさをおぼえた一冊でした。

 今、園では、子どもたちと本との出会いを大切にしたいとの思いで、ぶっくんの協力を得ながら、絵本コーナーにいろんな本を用意したり、日常保育での読み聞かせをしたり、延長保育のわくわく体感では、伊万里の昔話にも親しんでほしいと取り入れているところです。
 本は心の栄養といわれます。肉声での語りは栄養満点。秋の夜長、ぶっくんから借りてお家に持ち帰った絵本の中に、子どもたちはきっと、お母さんやお父さんのおひざの上で心に残る一冊に出会っていることでしょう。                              
(川東保育園長  波多恵美子先生)


● 保育園と絵本

 朝の集いのざわめき、ピアノの音、歌声が途切れ静かになった園舎の廊下を一回りする。保育室をのぞくと、それぞれの部屋で絵本の読み聞かせが始まっていた。いつの頃よりか、自然に毎朝このような光景が見られるようになった。自由な体勢で、ひとかたまりになった子ども達の姿、目は一斉に先生の手元の絵本に向いている。四月、入園した頃は、何人かの子どもが友達をつついたり、ウロウロ歩き回ったりしているが、秋の日ざしの中では皆絵本に集中している。
 ある日の職員室での会話。今年の伊万里市保育会の研究テーマの「絵本の読み聞かせ」についての議論が始まった。この研究の一端として、一つの絵本を取り上げ、ペープサート作り、大型紙芝居、めくり絵本作りをしようという提案があっていた。

 H先生いわく、「絵本は読書後の展開はなくてもいいのではないでしょうか。部屋で読んでやった絵本を次のぶっくんの時、同じ絵本を借りているのを見かける時、私たちの絵本選びの重大さを思います。」I先生は、「しかし形として発展させ、絵本への興味を高めていく手だてとしていいのではないでしょうか。」との事。ああだこうだと熱心に研究する先生達。とにかく子ども達を本好きにする取り組みです。

 ぶっくんのお陰で、園児個人でも2~3冊借りて家庭へ持ち帰り、園でも30冊の本を借り、手を伸ばせばすぐ取り出せる所に本がある。広い園庭でかけ回りホッと一息、絵本を広げ読んでいる様子を見れば、読書をする習慣の中からたくさんの知識を得たり、正しい心・やさしい心を育んでいるのだと嬉しい気持ちがいっぱいです。

 また、家に持ち帰った絵本が、どんな広がりをしているのでしょうか。お父さんとのつながり、お母さんとのつながり、忙しい時間のひとときを、絵本を通じて親子のつながりが深まっていると思います。知識や夢を広げるだけでなく親子のスキンシップへのチャンスも担って、大きな役割を持った絵本。このつながりを作ってくださったのは、やはりぶっくんです。そして、ボランティアの方の読み聞かせ、シアター、紙芝居を子ども達は楽しみに待ってます。園の先生から読んでもらうのも好きですが、また、外部からの知らない人から読んでもらうのも大きな魅力になっています。これからもいろいろお世話になりますが、図書館の皆様、よろしくお願いします。
(大里保育園長  前川真沙子先生)

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★ 2・3面(2)
読書の秋 ことしは芥川賞作品展

【芥川賞】
 芥川龍之介の名を記念した文学賞である。芥川の友人であった菊池寛の発案で昭和10年に始まって、今年で125回になる。純文学の新人作家の登竜門といわれ、伝統ある文学賞の一つである。


 「この人も芥川賞作家だったの」「この作品も芥川賞を受賞したの」
 今から68年も前に創設された文学賞ですから、作家の名前さえ知らない人も多くなりました。そこで図書館では、この機会に再認識と再読をと「芥川賞作品展」を企画しました。
 これまでの受賞作品は133点、そのうち図書館では72点を単行本で所蔵しています。一番古い本は昭和12年の受賞作品で、火野葦平「糞尿譚」があります。
 第1回は石川達三「蒼茫」。戦中から戦後にかけて一時中断しましたが、その後、井上靖、安倍公房、松本清張、堀田安衛など独自の分野を切り開いた作家の受賞が続きました。さらに安岡章太郎、吉行淳之介、遠藤周作、開高健が文壇に登場、ノーベル文学賞作家の大江健三郎も「飼育」で受賞をしています。
 展示には作品にくわえて、当時の受賞者の感想も掲示しており興味深いものになっています。この秋のあなたが再読したい一冊が見つかるかも知れません。

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★ 4面(1)
郷土の偉才に学ぶ文化講演会

 『久米邦武と米欧回覧実記』
 明治4年、特命全権大使岩倉具視の米欧派遣に随行し、『米欧回覧実記』を書いたのは佐賀出身の久米邦武でした。講師の田中先生は「岩倉使節団の歴史的研究」「明治維新政治史研究」などの著書がおありで、久米邦武研究については第一人者です。
 佐賀が生んだ異色の人物像に脚光をあてる講演会にぜひご参加ください。

  講 師   田中 彰 先生  (北海道大学名誉教授)
  日 時     平成15年12月6日(土)
              午後2時~4時(1時30分開場)
  場 所     伊万里市民図書館ホール

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★ 4面(2)
ご寄付ありがとうございます

 前田前教育長が退任にあたって50万円を図書館に寄付してくださいました。前教育長は平成3年から12年間、伊万里市の教育に全力投球してこられましたが、とりわけ図書館には心配りをしていただきました。
 これからも図書館を側面から後押ししていただけることと心強く思っています。ありがとうございました。
「お話しキャラバン」で保育園や幼稚園、老人施設などへたくさんのお話をしていただいていた秋吉郁子さんのこと覚えていますか。いつもやさしい笑顔のステキなお方でした。そんな秋吉さんの突然の訃報に驚かれた方も多かったはずです。
 このほど、「生前はお世話になりました」とご主人の博文さんから10万円の寄付をいただきました。
 お二人の図書館にかける想いを大切にして、その浄財は末永く読み継がれていく本を購入したいと思っています。

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★4面(3)
いすの木コンサート ~秋に歌う~

   日時:11月22日(土) 午後1時30分~
   場所:市民図書館ホール

   第1部 … いすの木合唱団コンサート
    (曲目)小さい秋みつけた、霧と話した など

   第2部 … みんなで歌いましょう
    (曲目)旅愁、おぼろ月夜 など

 皆様のご来場をお待ちしております。

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